小箱伸五 〜コバコシンゴ〜
和水プロダクション専属のロケバス運転手として雇われている俺はこの日も笑顔が眩しいアイドル達を現場へと送り届けた。
「ん?」
アイドルやスタッフの方がバスを降りてから10分ほど経っているのだが、スケジュール的にもう現場に到着してリハーサルを始めているはずのスタッフの方々はまだバスの近くにいて、何やらざわついていた。
「真矢さん、一体何があったんですか?」
「小箱さん……。実はですね」
ざわついていた理由は別の現場から来る予定のアイドルが前の現場とこれからロケを行う現場との間で起こった事故によって予定の時間内に現場に来ることが不可能になってしまったとのことだった。
「今から事務所に行って代理のアイドルの方を連れて来ましょうか?」
「そうしたい所ですが、流石に時間がありませんね」
「どうしましょうか」
真矢さんは少し悩むとこの場で唯一のアイドルであり、俺の友人である艶野入間をちらっと見た後、俺を見てこう言った。
「小箱さん、代理をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「お、俺?」
大変な状況であることはわかっている為、俺は断ることが出来ないまま代理を務めることになった。
その結果、俺はたった一度の出演で何故だか人気を得てしまい、ロケバスの運転手とアイドル二足の草鞋を履くことになった。
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