美穂路蓮 〜ミホロレン〜

 第5回『今日のシンデレラ』で僕はシンデレラになることは出来なかった。


 結果には納得している。僕はシンデレラよりも王子様と呼ばれることが多いからだ。


 今までその呼ばれ方は不服だったけれど、多くのアイドルを見ている審査員にはっきりと言われたことで王子と呼ばれても良いと思うことが出来た。ただ、


「これはアリなのかな?」


 僕は『プリンスガール』という矛盾した賞を授与されて5人目のシンデレラと共に和水プロダクションに所属する事になった。


「アリ、なんだね?王子が魔法にかけられて幸せになる物語も悪くない、か。プロデューサーさん、僕を何処に出しても恥ずかしくない『プリンスガール』にしてくれる?」


「はい、もちろんです」


 その返事を聞いた後、少しの沈黙が僕とプロデューサーさんの間に流れて、突然終わった。


「いや、笑うつもりは無かったよ。ただ、『プリンスガール』は面白いほど矛盾した呼び名だと思ってね」

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