紺野壮一 〜コンノソウイチ〜
きっかけは他愛もない事だった。
「次のライブはこの構成でどうだ?」
「兄さん、会場の広さから考えるとこのセットリストはこう変えた方が良いと思うけど」
「おい、これじゃあ俺の構成を全否定して作り直しているようなものじゃないか」
兄弟アイドルユニット『brother』の紺野壮一、壮二兄弟はそこから月に一度の兄弟喧嘩を始めた。
この時点で2人の喧嘩を止めることが出来るのは和水プロダクションの中でも2人の担当プロデューサーである川野流だけなのだが、今回はいつもと少し違った。
「この際だから言わせてもらうけど兄さんは……」
壮二のこの言葉で月に一度の兄弟喧嘩は4年に一度の大喧嘩に激化してしまった。
「また兄弟喧嘩か、お前らは毎月面倒ごとを増やして」
「「プロデューサーは黙ってください」」
少年2人の喧嘩ならまだしも、20歳を過ぎた男性2人に鬼のような形相でそう言われてしまうと流石の流でも口を出すことは出来なかった。
「これは少し長引きそうだな」
流の思い通り2人の兄弟喧嘩はこの日1日では収束しなかった。
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