金剛良照 〜コンゴウヨシテル〜
珍しくスーツを着て格好良くキメていた金剛良照は母校の小学校を訪れていた。
「15年近くたつに変わったところが無くて安心しました」
自身が主演を務める映画の完成披露試写会を小学生相手に行った後、校内を軽く見て回った良照は小学生時代を懐かしく思いながら校長室でそう言った。
「変わっていないように見えて意外と変わったところもあるのだけどね」
小学5、6年生の時の良照の担任であり現在は校長の職に就いているその男は校長室の棚から良照卒業時のアルバムと昨年度のアルバムを取り出し当時と現在の校舎やグラウンドの違いを示した。
「10年ほど前には校舎から離れていたプールを校舎の横に移設されたしグラウンドはプールを移設したことで広くなったからグラウンドの他に野球場も新たに導入した」
「小学生の時は野球一筋で良いグラウンドで練習したくてたまらなかったのにどうして俺が卒業するまでやってくれなかったんですか」
本気の口調でそう言った良照に校長は担任時代から変わらない笑顔を見せて言った。
「そう言えば良照は勉強を疎かにしてまで野球に取り組んでいたね。私はてっきり将来は野球選手になるものだと思っていたんだが」
「俺も不思議ですよ。野球しかしてこなかった俺がまさかアイドルになってこの小学校に帰って来るなんて」
「どんな道でも楽しさを忘れてしまっては続けられない。耳が痛くなるほど教えて来た言葉だけど覚えているかな?」
「もちろん」
小学生の時に教えられたその言葉を良照が忘れたことは一度たりともなかった。
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