遠野三日月 〜トオノミカヅキ〜

最大10連休のゴールデンウィーク最初の3連休が終わり、多くの人にとって憂鬱な平日を迎えた。


「レッスンまで時間あるな」


ゴールデンウィーク期間中という事で学校が午前中で終わった遠野三日月はスケジュールを見つめてそう呟いた。


「なら」


このようにスケジュールに長い空き時間がある時には必ずと言って良いほど三日月はある場所へ向かう。


「機種は何でも良いので空いている所を2時間で」


アイドルである三日月が変装までしてやって来たのはカラオケ店だった。が、三日月が利用しているのは普通のカラオケ店ではなく最近話題の1人カラオケ店だった。


「フンフフ、フフフーン」


鼻歌を奏でながら三日月は案内された個室に置かれていた操作パネルを慣れた手つきで素早くタッチし、1曲目が始まる前に5曲の予約を済ませていた。


「やるべき事など〜たくさんある〜けれど〜」


三日月は自分の曲や同じプロジェクトのアイドル達の歌を中心的に2時間で20曲近くを歌いあげた。


「あ〜、あ〜。今日はちょっとはしゃぎ過ぎたかな?」


自分の声に僅かな違和感を覚えた三日月は喉のケアと称してカラオケで歌いきれなかった歌を口ずさみながら事務所へ向かった。

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