和水プロの日常

武内裕香 〜タケウチユカ〜

そのキャンピングカーは暖冬により例年よりも早い雪解けを迎えた北の大地を走っていた。

「噂には聞いていたけど、北海道って一泊二日では回りきれ無いほど広いのね」

苫小牧市の港から札幌方面へ向かって走っていたそのキャンピングカーの運転手でアイドルでもある武内裕香は現在地から札幌市までの距離を見ると同乗者の平野千佳と4月1日から裕香たち旅アイドルの仲間入りをした輝瑠佳にそう言った。

しかし、千佳と瑠佳からの返答は無く、代わりに八戸からの船の中で二十歳を超えた大人だと言うのに普段は乗ら無い乗り物に乗って大興奮していた2人の寝息が返ってきた。

「全く、良い大人が困ったものね」

そんな小言を呟いた裕香は同じ事務所に所属するrainbowやフ☆レ☆ン☆ドの出したアルバムをBGMにして苫小牧の道の駅を少し過ぎた所から千歳市街に入るまでの特に代わり映えせずに眠気を誘う平坦な道をしっかりと制限速度を守って走って行った。