遠藤花菜 〜エンドウハナ〜

「驚いたな」


木曜日の午後、オーディションに受かったアイドルのタマゴたちは事務所に所属する前のお試し期間として事務所に所属するアイドルたちが常日頃から行っているレッスンを行っていた。


「アイドルって楽しいです」


オーディションに受かった5人の中で最年少の彼女、遠藤花菜は喜々としてそう言っていたが、彼女の足元には4人のアイドルたちがハードなレッスンによって息を切らして倒れていた。


「花菜、お前は何ともないのか?」


「はい、何ともないです」


毎日同じような事をしているアイドルたちでも疲れた表情を見せるレッスンをしたというのにまだ余裕のある花菜に流は驚きを隠す事が出来ないのと共に、ある考えが頭によぎった。


「花菜、少し話をしよう」


流はそう言うと花菜をレッスンルームから出して2人きりになった。


「お説教ですか?」


「別に怒られるような事はしてないだろ? 実は花菜のダンスレッスンを見て花菜に現在企画中のユニットに入ってもらう事にした」


「ユニットですか?」


「あぁ、花菜には少し大変な思いをさせてしまうかもしれないが、頑張って欲しい」


「はい、楽しい事が出来るなら。頑張ります」


花菜は両手を顔の横で強く握り、満開の笑顔を見せた。

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