梓琴音 〜アズサコトネ〜
梓琴音は17歳という若さでありながら芸歴17年のベテランである。
ベテランではあるが、大物のような立ち振る舞いを全くしない琴音は事務所に所属する年下のタレント達から『琴ねーさん』と呼び親しまれていた。
「琴音、今大丈夫か?」
「プロデューサー、どうしました?」
「美月の事で少しな」
「美月ちゃんの? あぁ、今度収録するクイズ番組の事ですね」
琴音は後輩アイドルである秋砂美月からクイズ番組に出演する事を聞いていたようで、プロデューサー兼マネージャーの川野流が自分に何を頼んでくるかおおよその察しがついていた。
「美月ちゃんのお勉強を見てあげればいいんですね」
「理解が早くて助かる。悪いが頼めるか?」
「後輩の為ですし悪いなんて思いませんよ。レッスンの合間で良ければ教えますよ」
「申し訳ないな。この礼は必ずする」
琴音は可愛い後輩の為に出来る限りの努力をして美月に勉強を教えたが、事務所の方針とは異なる『おバカアイドル秋砂美月』は生まれてしまった。
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