魔法って何だろう・4/7

◇前回までで、魔法の類が、「科学的にあり得ないことを具現化する」ことであるところまでお話しした。


 では、魔法とは「科学的にあり得ないことの具現化」だけでよいのだろうか。

 ……今のところの結論ではあるが、そもそもの議題でもある。

 ここで終わっては意味がない。


 魔法が生み出す具象、現実、物質世界について、少し考えてみたい。


◇物質世界とは?


 これを突き詰めていくとまぁ、物理学に行き着いてしまうわけだが、簡単に言えば、目で見て触れる世界である。

 今現在「科学的、客観的」と言われるモノは目で見て触って、誰が見ても同じと判断するモノである。


 最近では心療内科、精神科など、物質的ではない精神的なケアも見直されているが、科学で扱うこの分野はやはり物質であり、向精神薬などは、脳内物質のコントロール等を主に行っている。

(アドレナリン、ノルアドレナリンなどの脳内物質のコントロールで、鬱などの症状は改善を見せるという。しかし、薬に頼らなくなるには、非常に時間がかかるらしい……。)


 というわけで、物質偏重社会が今現在の科学社会であると言えよう。



◇物質偏重社会では、先の通り、時間的・空間的な「特異点」を認めない。

 科学に置いてもそれはほぼ、同様である。

 適当なスケールに於いては。

 魔法はその適当なスケールに入り込む特異点とも言える。


 しかしながら、最先端の研究に於いては、例外はある。

 極小、極大のスケールにおいて、である。


 極大は未だ解明されない宇宙の謎である。

 宇宙は拡大しているのか、縮小しているのか、その外側は。

 ロマンは尽きない。

 宇宙規模、観測可能領域の外側まで見なくとも、比較的わかりやすい例もある。

 ブラックホールである。

 SFでは、ホワイトホールなどが謳われるとおり、ブラックホールは光さえも吸い込み、何物をも逃がさない文字取り空間の特異点である。

(最も最近では、ブラックホールも蒸発するという説が浮上している。

 将来はブラックホールさえも『特異点』では無くなるかも知れない)


 極小はご存じの通り、素粒子の世界である。

 量子力学、素粒子のスケールでは、『無』さえエネルギーを持つ。

『無』から物質(粒子)が生じることさえ有り、物質とエネルギーは等価として扱われる。


 そう。物質はエネルギーなのである。


◇適度なスケール……m単位付近のスケールにおいては、物質は物質であり、エネルギーへの転化はない。

 しかし、物質はそもそもエネルギーを内包している。


 エネルギーを操ることが出来れば、物質をも変化させることも出来るのではないだろうか。

 もしくは、エネルギーを生み出すことができるなら。


 この辺りに魔法使いの本質があるのではないだろうか。

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