第127話 売り上げランキング

     



プリーモ店の売り上げランキング


1位 ペットボトルの飲み物

2位 アイスクリーム

3位 時計

4位 オールド眼鏡

5位 浮き輪


「凄いなぁ。ペットボトルの飲み物とアイスクリームが売り上げ1位と2位になるなんて、いったいどれだけ売れたの?」


 店に張り出された紙を見てクリリが呟く。

 売り上げランキングという事は数量ではなく金額。ペットボトルの飲み物は安い。それに比べて時計やオールド眼鏡は金額が高いから10個売れたら金貨10枚を超える。それなのに1位に輝いたのだからペットボトルの売れ行きが凄まじいのがわかる。


「追加しても追加しても追いつかないのよね~。いいよね~クリリたちはスライムと遊んでて、ちょっと日に焼けたみたいだね~」


「うっ。ナナミさんたちが働いてるって知らなかったから、明日は手伝いますよ」


クリリの尻尾がたれてるよ。


「ふふふ、冗談よ。カホさんやマリーさんが手伝ってくれたから助かったわ」


「商品並べるの初めてだからワクワクしました。お昼も日本の弁当を出してもらって、おむすびとか久しぶりに食べれて幸せです。ほかほかなのも良かったです」


カホ様は私が100円コンビニから買った弁当に感動していた。割り箸もついてるからそのまま食べれる。マリーさんが割り箸を使えるか不安だったけど結構上手に箸で食べていた。彼女は食材に興味があるみたいで、食べる度に『これは何を使ってるのでしょうか?』と訪ねていた。


「私もカホ様の故郷の弁当に感動しました。とても良く出来てます。」


「俺にはないのか?」


「タケルはお昼食べたんでしょ? 夕飯は今からレストランで美味しいもの(たぶん)食べるんだから弁当はお預けだよ」


「お預けって....犬じゃないんだから...」


クリリが憫れみ憐れみの目でタケルを見てる。なんかティーグルとタケルって似てる気がするんだよね。やっぱりペットのしつけはしとかないと後が大変だって言うからビシビシいくよ!


「勇者様ではありませんか? 」


 さあレストランへ行こうと歩き出したところで声

かかった。

振り向くと綺麗な女性が侍女らしき人と一緒に立っている。


「そうだが、どなたですか?」


「先日助けていただいたエリザです」


エリザさんは馴れ馴れしい態度でタケルの腕に手をかけている。相当自分に自信があるみたいです。


「人違いだろう」


 タケルはそれだけ言うとエリザさんの腕を払って踵を返した。自分の容姿に自信があったらしいエリザさんはあっけにとられて立ち尽くしている。


「綺麗な人なのに勿体無い」


 クリリが呟く。クリリよあれは性格が良くないって。女を見る目がないね。


「タケル様は人気者ですね。ナナミさんも心配でしょう」


「え?」


カホさんは何も言わなくてもわかってますよというような顔でうんうんと頷いてマリーと一緒にレストランの方へ歩いて行った。

 なんかとんでもなく勘違いされてるような気がする。顔が赤くなったのがわかる。

 私とタケルってそいう関係じゃないよ! 次に言われたら誤解をとかないとね!







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