第112話 光るブレスレットを売ろう

 夜になると少し涼しくなってきた。

風鈴が鳴るとさらに涼しく感じるから不思議だ。その音を聞いて買ってくれる人もいる。日本人でなくても分かる人にはわかるのね。

豪華版かき氷器は夜になるとキラキラ光って存在を主張し出した。うん、これはスゴイ。宣伝効果抜群だ。ただ、夜にかき氷器使うのは夏祭りの時だけだから、このキラキラやっぱりいらないけどね。


アイスクリームは氷の中に入れてるだけではやっぱり溶けるので、結局冷凍庫を外に出して売ってる。氷の中の入れ物にはペットボトルのジュースをいっぱい入れて売ることにした。お客さんのジュースを売ってくれって言う要求に応えたら飛ぶように売れてしまった。数でいったらかき氷より売れてる。

タケルの提案で花火も売ることにした。まだ全然売れてないけど、もう少ししたらクリリが花火をするから、きっと注目されること間違いなし!


「ナナミさんこれはなんなの?」


光るブレスレット3本入りの袋を不思議そうに見てる。これはそろそろ開けて見せたほうがいいよね。3時間くらいしか光らないから安く売るつもり。祭りの夜だけのお楽しみだからね。


「どう? 光って綺麗でしょ?」


私が発光したブレスレットを腕に巻いてみせる。


「わー! すごいね」


クリリの腕にも巻いてあげる。クリリは青にした。ちなみに私のはピンク。コレットさんは黄色。

ルイスさんが私たちを驚いて見てる。ルイスさんはタケルが王都まで転移で送って行くそうで、それまで店を手伝ってくれてる。当然御付きの人も手伝ってくれてるので、私たちは暇になる。そこで花火とか光るブレスレットを売ることにした。いろいろ売りたいものはあったんだけど人手がなかったから諦めてたの。やっぱり夏祭りにはこれがないとね。


「そのブレスレットはすごいですね」


ルイスさんが話しかけてくる。


「でも3時間くらいしか光らないんですよ。明日になったらただのゴミですから3銅貨で売る予定です」


もう少し長くもつといいのに。


「3時間ですか。でも3本入ってますからもっと高くてもいいと思いますよ」


「王都だったらそれでいいと思うけどここは田舎ですからね。できればいろんな人に使って欲しいから、やっぱり3銅貨くらいがちょうどいいです」


私が言うと不思議そうな顔で見てる。そんなに変なこと言ってないよね。やっぱり商売人から見たらダメダメなんだろうか?





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