第96話 アイスクリームを売ろう
双眼鏡を買うとアルヴィンは意気揚々と帰って行った。
「どう? 本当に帰った?」
アルヴィンの後をつけて行ったクリリが帰ってくるとコレットが聞いた。
「うん、馬車に乗って王都の方に行ったから大丈夫だよ」
はぁ。長かったよ。もうずーっと居るのかと思ったよ。
「ナナミさん。この冷凍庫店の方に置くんだよね」
クリリとコレットさんが奥においてた冷凍庫を運んでくる。クリリちっちゃいのに力持ちだよ。
アイスを売るって決めてからショルトさんに冷凍庫売ってないか相談したら、ちょうど中古だけどいいのがあるって言われて買ったのがこの冷凍庫。本当はアイスが見えるようにガラス張りが理想だったけど、そんな冷凍庫見たことないって言われたよ。特注で作ってくれないかなぁ。
この冷凍庫は領主様の厨房で使ってたものだから特別にデカイそうだ。私からするとそんなにデカイとは思えないんだけど...。壊れてないのに買い換えるなんて領主様も太っ腹だよ。
いつかバレるだろうけどまだアルヴィンさんにはアイス売るの見せたくなかったから隠してたんだけど、クリリもコレットさんも早くアイス売りたかったみたい。アルヴィンさんに刺々しかったのもアイスのせいだったにかな。
「冷凍庫の中冷たくなってるからアイス入れても大丈夫だよ」
はい、はい。クリリは早くアイス売りたいのね。
「なんのアイスがいい?」
一応クリリの意見聞いておこう。
「「え?」」
コレットさんとクリリが目を瞬いてる。そんなに変なこと聞いてないよね。
「チョコとかバニラとかスプーンで食べるのとか棒アイスとかいろいろあるでしょ?」
仕方ないので百均でいろいろ出してみた。種類はそれほど多いわけじゃないけどこの世界では多いみたい。クリリとコレットさんの目の輝きが違う。ぽっきんアイスも入れておく。
「この間女子会で食べたのだけだと思ってたわ。アイスっていろいろあるのね。どれ買うか悩むわ」
「え? コレットさん買って帰るの?」
「家に冷凍庫あるから何個か買って帰るわ。旦那も食べたいって言ってたし」
コレットさんの家って冷凍庫あるんだね。やっぱり騎士って給料いいのかな。
「クリリも買って帰る? タケルの家なんだから冷凍庫あるでしょう? 従業員割引で安くするよ」
「本当? でも冷凍庫はあるけどちょっと遠いから溶ける気がする」
クリリはタケルの家で暮らしてるから、コレットさんの家より遠い。
「あれ?クリリはマジック鞄に入れて帰ったら溶けないんじゃないの?」
私が言うとクリリは
「あっそっか」
と言って笑ってる。まだまだマジック鞄持ち慣れないみたい。コレットさんもマジック鞄持ってるからそれに入れて持って帰ると言ってる。
「まあ、ほとんどの人は食べながら帰るのかな。売れるといいけど.....。まあ売れなかったら自分で食べるから」
私が呟くとコレットさんが
「絶対売れますよ」
と自信満々に宣言する。隣でクリリも頷いている。
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