第58話 2号店開店の前々日2



「初めまして。あなたがナナミさんね。思ってたより大きいのね。ユウヤの話から想像してたのはもっと幼い感じだったわ。私はユウヤの妻でミリアです。この子は娘のユーナ」


お、驚きました!! ユウヤさんの奥さんは猫の獣人でした。お子さんにも猫耳があります。奥さんはグレーの髪に緑の瞳ですが、お子さんは黒髪に黒目です。お父さんさんに似たんですね。


「初めまして。ナナミです。よろしくお願いします」


「ナナミさんのおかげで家族で暮らせるようになったわ。本当にありがとう。」


「ありがとう」


お母さんの真似をしてユーナちゃんも頭を下げてます。かわいいです!


「いえ、気にしないでください。困った時はお互い様という言葉が日本にはあるんですよ。私に何かあった時は助けてくださいね」


「ユーナちゃん、髪飾り使ってくれてるんですね」


ユーナちゃんをよく見ると髪を結んでるゴムは、ユウヤさんにお土産で渡したものです。ゴムに花の飾りが付いてます。


「とっても気に入ってるの。毎日これで結んでくれって言うんです。それで相談なんですが、これ売りませんか? こういうの欲しがる人いると思うんですよ」


「いいですね。鏡売ってる横に櫛やカチューシャ、カチュームにパッチン留め、いろいろあるから選べますね。値段はどの位で売れますか? 」


「この辺りの相場だと5銅貨から1銀貨くらいかしら」


「わかりました。1号店でも売るから値段を決めていきましょう」


100均からいろんな種類の髪飾りを買っていきます。鏡の横に並べていくとキャーキャー言って喜んでます。


「おいおい、どうしたんだ?」


騒ぎを聞きつけてユウヤさんがタケルと一緒に現れます。


「あなた髪飾りってこんなにいろいろあるのね。売るのが楽しみだわ」


「俺にはよくわからないがこれだけ騒ぐってことは売れそうだな」


ユウヤさんには髪飾りの魅力はわからないみたいですね。私もここまで反響があるとは思ってたなかったので嬉しいです。


ユウヤさんの店は結構大きいのでたくさん商品が置けます。今回の開店の目玉商品は時計です。大量生産が追いつかないそうで、まだあまり出回ってないですが時計はそれほど高くは売ってないそうです。


「時計を並べていくから時計を出してくれ」


まずは壁にかける物から出していきます。その次は腕時計。腕時計はまだこの世界のはありません。懐中時計を貴族の人は持っているそうです。


「壁時計や卓上時計は1金貨でいいとして、腕時計はどうする?」


「2金貨位貰ってもいいと思う。あんまり安く売ると時計の価値が下がるからな」


時計の値段はタケルとユウヤで決めちゃいました。私が決めると安くしすぎるから駄目らしいです。安いって良いことだと思ってたけど、同じものを売ってる人もいるからその人たちの事もある程度は考えないと大変なことになるそうです。

でもね時計は高い買い物だから保証書をつけることにしたの。百均の時計ってたまにすぐ電池切れたりすることあるから、買ってからひと月以内に動かなくなったら交換するってことにしました。もちろん落として壊れたのはダメですよ。


「ついでにタイマーも売ろうと思うんだけど、どう思う? 私はいい加減だからカップ麺とかだいたいの時間で食べるんだけど、3分とか5分とかわかりにくいみたいでしょ? 時計は高いからタイマーとか砂時計とかを売ったらどうかと思うの」


「それはいいかもな。俺たちは3分とか5分って普通のことだけど、この世界ではわかりにくいから」


タケルも賛成してくれたので百均で買って並べていきます。なんだかいつもと同じことをしてるのに楽しいです。









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