第38話国王と公爵side
「陛下、こちらが例の少女の店で売ってる商品です」
ガーディナー公爵は国王陛下にオールド眼鏡やカップ麺等入った袋を渡した。
「ここには誰もいないんだから従兄上と呼んでほしいな」
「それはなりません。どこに耳があるかわかりませんから。」
ガーディナー公爵は首を振った。
「お前は堅くていかんな。ふむ。これがオールド眼鏡か。おーすごいな。確かに字がくっきりと見える。これを金貨1枚で買えるとは、我が国の特産品になるのではないか」
国王であるイーサンはオールド眼鏡をかけたまま頷いている。
「はい。このまま我が国にいて欲しいのですが.....」
「どうした。お前らしくもないく弱気じゃないか。おーこの飴も美味しいな。初めての味だーーということは、やっぱりナナミとかいうものは異世界人だったのか?」
「おそらく、間違いないかと。ーー最近では勇者が毎日通っているようです」
「今代の勇者はイルディア国にいるのではなかったか? 確か魔王退治の功績で伯爵の位を与え領主に任命されたとか聞いていたがどうしてこの国にいる?人違いでは?」
イーサン国王は首を傾げた。
「いえ、勇者と挨拶をお交わしたことのある我が息子が断言しました。勇者タケルだと。部下たちがある男が最近店に入り浸っていると騒いでいた時、丁度息子がマジックショップナナミに買い物に行って、勇者に再会したようです」
「そうかクリスが断言したのか。魔王を退治した時のパーティーにクリスも呼ばれたのだったな。ということは間違いないだろう」
「その時家を買うと言ってたそうです。クリスが言うにはナナミに気があるから家を買うのではなく、ナナミの売ってるものと離れられない、離れたくないと言ったそうです。その時カップ麺を食べていたそうですが、ナナミと同じように"ハシ"というものを使って上手に食べていたそうです。おそらく同じ世界から来たのではと言ってました」
しばらく2人は黙り込んだ。考え込んでいるようだった。しばらくするとイーサン国王が
「家を買うと言ったのなら大丈夫だろう。自分の領地に連れて行くということではないのだからな」
と言った。
「そうですね。ただ勇者は我々とは比べものにならない位変わった魔法を使うということなので、監視は必要かと」
「ふむ。勇者は敵ではなさそうだが、何処に敵がいるとも限らない。これほどの商品を生み出す力だ。監視は必要だろうーーで、アンドリュー。ラーメン
はまだなのか? 持ってきたのだろうな」
イーサン国王は早く食べさせろとばかりに机を叩く。
「そろそろ持ってくるはずですが、毒味に時間がかかってるのでしょう」
イーサン国王がラーメンを食べれたのはそれからさらに10分後のことだった。残念ながら麺が伸びてスープも少なくなっていた。国王というのは因果な商売である。
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