第23話 カレーは辛いです




カレーは一つしか作ってないので、私はまたカップ麺を食べる事にした。


「どうぞ、召し上がれ」


少年はカレーを見て戸惑っていたが、スプーンを持って食べ始めた。ペットボトルの水をキャップを開けて側に置いた。二口目を食べた後、すぐ水をゴクゴク飲んでいる。やっぱり子供には辛いかなぁ。


少年を横目で見ながら私もラーメンを食べる。昼間は醤油ラーメンだったから、豚骨にした。


「辛いけど、辛いけどすっげー美味しかった」


食べ終わると暑いのか帽子をとって興奮したように喜んでいる。帽子の下から、耳が現れる。どうやら彼は獣人の子供だったようです。

辛いけど美味しかったようでなによりです。水も結構飲んでたからお腹一杯でしょう。食べ終わったようなので、質問です。


「少年はどうしてオールド眼鏡がいるの?」


「少年じゃなくてクリリだよ。院長先生にあげるんだ」


「院長先生?」


「センタリア孤児院の院長先生。いつも世話になってるから、バイトして何かプレゼントあげようと思ってたんだ。目が見えにくくて困るって言ってるから、オールド眼鏡あげたら喜ぶと思うんだ」


そうか。だったら買ってもらう方がいいのかな。私があげるんじゃダメだよね。お世話になってる先生にって、すごく良い子だよ。


「みんなにも食べさせたいな」


カレーの食べ終わった後の皿を見てクリリがつぶやく。


「みんなって何人くらいいるの?」


「先生たちを入れたら30人くらい」


「今度作りに行ってあげるよ。あ、でもそういうのいいのかな?」


作るとか言っても勝手にいいのかな。料理人さんに叱られるのは嫌だ。


「大丈夫だよ。たまには料理したくない時もあるって言ってるから、それにみんなこんな美味しいの食べたらビックリすると思う」


クリリが言ってるから大丈夫だよね。簡単に作れるから持って行ってあげよう。


クリリはもう帰らないと怒られると言って帰って行った。大事そうにオールド眼鏡を抱えて。


飴とマヨネーズ、タオルを数個開店祝いに渡した。

初日最後の客だからといって、眼鏡ケースもサービスした。今度からラッピングもできるようにしたいね。プレゼントとかまたあるかもしれないし。


「このマヨネーズで野菜食べると美味しいからすぐなくなったんだよね。人数多いから助かるよ。後、カレー待ってるから。絶対だよ」


「店が休みの日に絶対行くから、待っててね」


クリリとも友達になれるといいな。友達になったら、あの耳に触ってみたい。触らせてくれるよね。



こうして、開店初日は終わった。なんか濃い1日だった。


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