第20話 開店初日4



この世界でもカップ麺売れそうですーーなんて思って喜んでいた時もありました。これを自業自得というもでしょうか。午後からの列の大半はカップ麺目当ての客でした。

私達と同じようにお昼にカップ麺を食べたのですね。5分で食べれるお手軽さが受けたのか、味が気に入ったのか。


「どちらもでしょう。5分で食べれるのもすごいことだし、塩味のきいたパンチあるスープも気に入ったのでしょう。とりあえず今並んでる人たちで今日は終わりにすることにしましょう。それでも7時くらいまでかかりそうですけど」


なんで考えてることが分かったのでしょう。ショルトさん怖いです。


「よろしくお願いします」


ショルトさんはお客様を入れるのを一時中断してこれからどうするか話に来てくれました。

売れるのは嬉しいのですが、限度があります。さすがにひとりで売っているので疲れました。


私は百均で鯖缶と焼き鳥を各200個ほど買ってカウンターの近くに置きます。


「それはなんだ?」


「鯖缶と焼き鳥の缶詰です」


「カンヅメ?」


「カンヅメで密封して保存している食品です。味付けもしてあるし、この部分を引っ張ると開くんです。便利でしょ」


「で、まさかそれを配る気ですか?」


「さすがにカップ麺買ってくれた人にカップ麺を開店祝いにあげるわけにはいかないし、これなら小さいからかさばらないし…」


ショルトさんの視線にだんだん声が小さくなっていきます。ショルトさんはため息をつくと


「明日はカンヅメのためにまた人が並びますよ」


と言った。


「うっ…」


そうだった。なんで思いつかなかったのか。 私は馬鹿です。


「食べ物は却下です。いいですね」


「はい」






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