取り留めのない日記

3846masa

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いんげんの天ぷら

 夕食を天丼てんやで食べた。


 てんやでは、いんげんの天ぷらがあるのだが、それが私は好きだ。天丼の種類によっては乗っていないのだが、そういうときは追加でわざわざ頼む。


 天丼が届いたらまず、いんげん。他の天ぷらが上に重なっていて、いんげんが取りづらかろうと、いんげんを食す。


 なんというか、儀式のようなものだ。「いただきます」や「ごちそうさま」のような、そういう通過儀礼。これから自分は天丼を食すのだと、体を心を向かわせる。


 いんげんの何が良いかといえば、衣と具のバランスだろう。いんげん自体は大きくないので、衣の割合が多い。いかにも天ぷらを食している。これに天丼のタレが適度についていると良い。逆につきすぎていると、そのあとの天丼も気分が下がる。


 もちろん衣を食いたいわけではない。いんげんそのものがあってこそだ。いんげんの中にある小さな豆。あの食感も堪らないのだ。


 そうして、いんげんを堪能したあと、天丼に向き合う。思うがまま食す。米から手をつけてもよし、海老天を頬張ってもよし。食いたいように食う。


 私はてんやの天丼をこのようにして食す。てんやの天丼に限った話だ。それなりに値段のする天丼屋とかでは、こんなこだわりなどない。個別でいんげんを頼むこともしない。


 別にこんなことしなくても味は変わらぬだろうし、どうということはないのだが、それでも今日もいんげんを頼んでしまうのだ。

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