第17話 猫が乗る
Zさんが友人二人とドライブに出掛けた時の話だ。
季節は夏。Zさん達は夏だからと言う理由で海に向かっていたのだが帰省ラッシュと重なってしまい高速道路は案の定の渋滞で日帰り予定だった事もありパーキングで軽めの朝食を食べながら海に行くのは止めようかと話をしていたらオカルト好きの友人がある提案を出した。
「この辺りにちょっと有名な心霊スポットがあるんだ、行ってみないか?」
友人の話によると、この近くに廃神社があるらしい。なんでも後継者がいなくて、そのままにされた神社らしく其処の最後の神主が悲観し自殺、無念から成仏できずに彷徨っているという在りがちな話だった。
オカルトスレでも割と盛り上がってる場所らしく興奮気味に話す友人に少し呆れつつもZさんは賛同した。友人程ではないがZさんも心霊スポットという場所には少なからず興味があったからだ。
行先が決まり、車に向かうと車の上に一匹の白い猫が乗っていた。Zさんは見間違いかと思ったがよく見ても白い猫が乗っているのだ。
その事を友人に伝えたが二人とも白い猫なんて居ないと答えた、Zさんはもう一度見たら白い猫は居なかった。友人二人に暑さでやられたかと冗談交じりに心配されたがZさんは大丈夫だと答え、提案者の友人の案内の元、心霊スポットへと向かった。
案内の元、舗装された道から外れていく。これから心霊スポットへ行くぞ!! と言わんばかりの雰囲気にZさんは先ほどの件を忘れて少し気持ちが浮ついてきた時だ、車が急に止まった。
「おい、どうした・・・・・・」
運転席の友人の方を向くと、あの時、車の上に乗っていた白い猫がボンネットの上に乗っていた。不自然な光景にZさんは猫に恐ろしさを感じた、それはZさんだけでなく運転席の友人は顔を青白くさせ、助手席にいる友人も青白くさせていた。猫はZさん達をじっと見つめると。
――シャー!!!!!!
威嚇すると、そのままフッと消えた。
それを見たZさん達は廃神社にも寄らず、そのまま来た道を戻った。
暫くして、Zさんは廃神社について調べた。
あの辺りは養蚕業が盛んだったらしく蚕を守る為に飼われた猫を神とし祀っていたという。廃神社は守り神となった猫を祀る為に建てられたものだった。
もしかして、あの猫は祀られていた神で今でも寂れても神社を守り続けているのだろうとZさんは思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます