第11話 猫が座る

 中学生のBさんは、ある日の帰り道で奇妙な猫を目撃した。

 その猫は一見は只の三毛猫だが、じっと家の玄関の前で座っているのだ。Bさんは変な猫と思いながら、その場を後にした。

 それから数日後の帰り道、救急車がある家の前に停まっていた。聞いた話だがその家に暮らしていた一人暮らしの老婆が倒れていたという、発見者は様子を見に来た老婆の娘だったそうだ、そして老婆はそのまま亡くなった。老婆は心臓の病を抱えていたらしく発作を起こしたのではとのことだ。家族に迷惑かけたくないからと同居を拒んでいたという。


 暫くして、Bさんはまた奇妙な猫を目撃する。その猫はまたじっと家の玄関の前で座っていた。その家はBさん家族と親しいRさんの家で猫を飼ったなんて話を一つも聞いたことがなかった。Bさんは座っている猫を見ていたが猫は気にすることもなくじっと座り続けた。

 その日の晩、Rさんの息子さんが交通事故で亡くなったという知らせが入った。

 母がまだ小学生なのにと言っている傍らでBさんは奇妙な猫を思い出していた。あの猫は数日前、亡くなった老婆の家にも居なかったかと・・・・・・。Bさんはそう思ったが薄っすらと背筋が寒くなるのを感じて考えるのを止めた。

 Rさんの息子の葬式が終わり、周りが日常に戻り始めたころにBさんは奇妙な猫を見つけた。


 その猫はBさんの家の前に座っていた。

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