腕
水円 岳
第一話 禁所
そこは、ひねこびた灌木がところどころにぼさぼさ生えているだけの、全くの荒れ地であった。
百町歩に及ぶ広い荒れ地は、しかしながらそのぐるりを緑なす田畑で隙間なく囲まれていて、実に奇妙な景観を呈していた。
起伏が緩く、幾筋もの川を抱いたその土地は、地味と水利に恵まれており、本来ならばすぐに開拓されて田畑に変わっているはず。なのに、もう何百年と何の実りもない荒れ地のままで、誰からも目を背けられて。そこは放置され続けてきた。
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