【23】あぶないよ!!


十一月下旬の大気に含まれる何かを吸ったオレのさびしさ




おみこしになって元気な人達にかつがれたいな年に二回は




妄想は百万本の紅い薔薇をバルコニーから見下ろしている




つらすぎて笑っちゃうよというふうに朝の車道を枯葉ふらつく




ボロいなと思い見ていた住宅の中からワッと笑いごえ立つ




まがまがしい力渦巻くパトカーの赤が無音で夜を照らせば




四千円払えと言われさしだすと野口英世は同一の顔




アンケートの「わからない」にだけ丸つけてオレも日本国民である




遠くではマジックショーが始まった騙そうとする声のあかるさ




紙きれを千円にするマジックがとりわけ客の興味をひいた




わからないままでどんどん行きなさい雨が何滴あるのかな、とか




りんごの上にリンゴを置いてその上に林檎を乗せたぐらい不安だ




すこしなら呪われたっていいでーす 駅で運ばれてる段ボール




「いちご」って答えて急にはずかしくなった中学一年のころ




エスカレーターの手すりをむっと見ていると汚れがあって気にすればなる




十二月枯れ葉枯れ木にひとすじの道がくねって心が怖い




百十円ならば買わないおにぎりの百円セールに二点を選ぶ




このオレが死んでしまった後に吹く春の風、ああ、あったかそうだ




あぶないよ!!などと書かれて一周をフェンスの囲む池のさびしさ




自販機に話しかけられ驚いたこれには慣れるべきなのですか



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