第2話 電子の海での遭難
「だけどこれ……少しおかしいな」
レビューがたくさんついたのは嬉しい。けれど、その中にちらほら本当に読んだのか? と、言いたくなるようなものが混ざっている。
『バトルが良かった!』
バトル始まったばかりのところだし。
『主人公が強くて良い』
だからこれからだってば。
そんな調子だ。
いや、もしかしたら冒頭のヒロインとの口喧嘩とか、主人公の設定に最強、というワードを入れていたのが良かったのか?
そんなことを思いつつも、『続きが早く読みたい』、『楽しみにしてます』と言われたら悪い気はしない。
ーー翌日。
「今日は……っと、えぇっ!?」
さらに★とレビュー、フォロワーが昨日の3倍近くなっている。これがランキング効果だというのか。
昨日はレビューの返事に時間がかかり、更新できなかったからな。まずは最新話の更新だ!
最新話を公開し、近況ノートにその報告と、とりあえずまとめてお礼を書く。
『最新話の公開しました! ぜひ読んでください!』
Twitterにも一応投稿しておく。フォロワーなんていない一方通行のものだけど、ハッシュタグをつけてつぶやくなら多少は効果があるかもしれない。
「そうだ、ランキング! 直接マイページに飛べるようにしてたから見てなかった!」
はやる気持ちを押さえてトップページを見にいく。
「嘘だろ……!」
トップページには、総合ランキングに食い込んでいる自作のタイトルが。
あまりの嬉しさにすぐに近況ノートを更新した。
『皆さんのおかげで総合ランキング入りです!ありがとうございます!』
ーーそれから一週間、俺の小説のPVは伸びつづけた。
俺はノリノリで更新しつづけた。更新すればするほど読者は増え、俺は有名人気取りになっていった。
レビューは賑わい、俺は近況ノートに喜んで返事を書く。そのうちに、
『返信は出来る限り書きますが、あまりに多いため全員分は書けません。返信がもらえたらラッキー!くらいの気持ちで待っていてください!』
などと、有名作家気取りな文句を書くようになった。
だから、俺はまだ気づいていなかったんだ。カクヨムが恐ろしい電子の孤島だということにーー。
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