一話完結型の本作。
怪談を愛する行動的な先輩と、
それに巻き込まれる頼りない後輩が送る、コミカルでありながら少しずつ背中に這い寄るような不気味さを描いた良質なホラーです。
この作品には近年のホラー映画などで見られるような、不意を突いて視聴者をわっと驚かせる描写はありません。
むしろ、内側からじわじわと滲み出てくるような恐怖が、この作品の魅力と言えるでしょう。
また、語り部である竜胆と、彼を引っ張り心霊スポットに進む黄昏先輩のコミカルなやりとりが、話に凹凸を作り読み手を上手く引き込んでいきます。
全体を通して文章が安定しており、しかも一話一話サクサク進むので、気軽に手を出すことができます。
とにかく肝を冷やしてみたい、そんな方にオススメの良作です。