第2話 巷を騒がせる高校生探偵
━━愉快な介入をし、警察の信頼厚い高校生探偵・
「こんにちはー!毎度、丁少年です!」
爽やかな笑顔に、ちょっとプリンになった茶髪の目立つ少年。人懐っこさで、所轄の男女ともなく、人気だ。
「またおまえか!今度は何に首突っ込むつもりだよ?」
壮年の恰幅のいい男が、溜め息混じりに、ギイっとイスを軋ませて丁を見る。
「わかってるじゃないですかー!…………『
急に真顔になる。
「……初めて顔を出したときから、似たような案件に首突っ込むなぁ。」
更に深い溜め息をつく。
「……当たり前です。俺に知識をくれた恩師の死の真相を突き止めるまでは、他には興味持てないですよ。」
顔を歪ませ、吐き出す。
「『村主准教授一家殺害及び、少女誘拐事件』か……。」
10年前に起きた、凄惨な事件。それには、まだ詳細があった。
◆◇◆◇◆◇◆
当時、村主准教授は『心理学』の教鞭、研究をしていた。尊敬する柿沼教授の元で日夜、努力を惜しまなかった。……それは、事件の一年前まで。
村主准教授一家の事件の一年前に、『柿沼教授一家』が惨殺される事件が起きた。科学の権威の一端を担う
……すべての始まりは、二人の教授が、携わったそのとある事件。ある一家の殺害事件だった。
携わった柿沼教授一家が11年前に殺害され、後任の村主准教授一家が10年前にされた。更に5年前に、『円山教授』も殺害された。円山教授は生涯を科学に捧げた人間だった。
◆◇◆◇◆◇◆
………出会ったばかりの頃の、丁少年は当時『7歳』。事件の関係者としてやって来た。そう、恩師とは、村主准教授であり、また、円山教授とも面識があった。ちょうど、10年前のことだった。恩師を殺された少年は、はっきりと言った。
『俺は探偵になって、絶対にこの事件の真相を暴き、村主センセイに恩返しをするんだ!』
彼の瞳は、涙を湛えながらも、強い意思を感じさせた。
◆◇◆◇◆◇◆
……元々彼は、探偵に憧れていたのだ。それは、11年前に遡る。
テレビで見た村主准教授に憧れ、大学に不法侵入。そんな彼を優しく迎えたのだ。自分には、同じくらいの年頃の娘がいるから、無下に出来ないと。それにこんなに若い、未来ある少年が興味を抱いてくれたことに、喜んでいた。
そこに円山教授も現れ、元来の人懐っこさで仲良くなっていった。いつしかそこは、小さな極秘会議室となった。通常ならば、一般人には漏らしてはならない極秘情報だ。しかし、彼は不法侵入していることで口外はないことと、あまりの吸収力により、力を借りたくなったと言う。
『俺、大学は絶対にここにくる!センセイたちの授業を受けるんだ!』
◆◇◆◇◆◇◆
………その願いは、叶えられることはなかった来年受験する予定の彼には、残酷過ぎる現実。出会って一年後に、村主准教授を殺され、5年前に円山教授を殺された。……彼の尊敬する恩師たちは、もういない。彼らの意思を継げるのは、彼しかいないのだ。
未だに捕まらない犯人。そして、その犯人の消息が絶たれると共に現れた、新たなる連続殺人犯。それは若い女性だという。
犯行内容や、時間帯は違えど、特異な類似が見られるのだ。
どちらも、人目を気にしない。犯人だとわかっても、通りすぎるまで誰も動けない。
……関係性があると踏んでここに来た。
━━もしかしたら、自分が探している『誘拐された恩師の娘』かもしれないと━━
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