呪われた転校生
にごう
新瀬典貴
第1話 転校生
俺はとある市立の中学校に通っていて、今年から2年になる。
クラスは持ち上がりだったので、クラスメイトも担任の先生も変わらなかった。
『キーンコーンカーンコーン』
チャイムが鳴った。これからホームルームが始まる。
しばらくすると、教室に担任の伊瀬(いせ)が入ってきた。そして伊勢が教卓の前に立つと委員長が、
『起立!』
全員が立ち上がった。そして、
『礼』
『おはようございます!』
『着席』
それから全員が着席し終わったのを確認すると伊瀬が、
『おはようございます。今日は皆さんに新しい友達を紹介します』
そして、伊瀬は息を吸い直すと、
『さくのさん。入ってきなさい』
すると、扉が開いて一人の女の子が入ってきた。
髪は綺麗な黒色で、先が少し肩にかかっている。とても可愛い女の子だった。
教室が少しざわつく。男の子が騒ぎ出したのだ。
『男子うるさい!』
委員長が注意をした。
彼女が伊瀬の横まで来くると、
『さくのさん。自己紹介して下さい』
すると彼女は、黒板の方に向きを変えると、チョークを持って名前を書き始めた。
佐久野色乃
『さくのいろのです。よろしくお願いします』
そう言うと、彼女は軽くお辞儀をした。
緊張しているのか、少し声が固かった。
『はい、佐久野色乃さんです。皆さん仲良くしてあげてください』
伊瀬がそう言うと、教室のあちらこちらから、『はい』と言う声が聞こえてきた。
『それじゃあ、佐久野さんはあそこの空いている席に座ってください』
伊勢は窓際の一番後ろの席を指差した。俺の隣だ。
彼女は小さく『はい』と言うと、ゆっくり歩いてきて席に着いた。
『わからないことがあれば隣の新瀬に聞きなさい』
そう言うと、佐久野は頷いた。それから伊瀬が、今度は俺の方を向いて、
『そういうことだから頼んだぞ、新瀬』
拒否する訳にはいかないし、逆にラッキーだと思ったので、
『はい』
と、俺は素直に答えた。すると伊瀬は軽く頷いた。
『この後は体育館で集会があります。遅れないようにしてください。では、今日も一日頑張りましょう!』
そして、伊瀬は教室を出ていった。
俺は佐久野の方を向いて、
『佐久野さん。俺、新瀬典貴(しんせのりき)って言うんだ。よろしく』
自己紹介をした。ちょっと固かったような気もしたが、最初はこんなもんだろうと思った。
すると彼女は、
『……ないで』
『え?』
『…かけないで』
『ごめん、聞こえない』
『私に話しかけないでって言ってるの!』
彼女がいきなり大きな声で怒鳴った。
全身が固まった。
すると、教室いた皆が彼女の方を振り向いた。
急に教室が静かになった。
『あっ…ご、ごめんなさい……』
彼女は顔を真っ赤にして座りこんでしまった。
これが俺と彼女の出会いだった。
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