恵理香 01-黄色
真理は頭から得体の知れないものが入り、少しの間留まっている様な錯覚を覚えた。
そして、出た言葉は普段の声では無く、ずっと低かった
「京介、あの黄色の子!!」・・・・・
そう真理に言われ、京介は急いでその女の横まで近付いた。
「かのじょ、そんなミニの薄着で寒くない?」
真理は何故か、今度はそれが足から走り抜けて行くのを感じた
京介はジロッと顔を見据えられ、それでも声を出してくれた。
「寒いわよ」
「暖かいとこ、行かない?」
「なによ、この助平」
「ホテル何て思ってない。コーヒーは?」
「お腹減ってる」
「じゃご飯」
「おごってくれるん?」
「あぁ、いいよ」
「だったら、付き合う」
俺は思わず後ろを振り向くと、真理さんにOKマークを送った。
「何を食べたい?」
「お肉」
「焼肉とステーキどっちがいい?」
「任せる」
そこは道玄坂の横路を入ったステーキ屋だった。
ここには何回も来ていたが、味はともかく値段は安くボリュームがあった。
前に座った恵理香と名乗る女は、一言も喋らずただ無心に肉を口に運んでいた。
300グラムのステーキを食べ終わると、俺を見詰める。
「どうした?」
「デザートいい?」
コーヒーを飲む俺の前で、今度は到底ご免こうむりたい、超大きなケーキを頬張っている。
「あたしもコーヒー」
俺は200グラムで十分腹が膨れたのに・・・
コートを脱いだこの女はやせ細っていた。
俺が怪訝な顔をしていたのか、ポツリと答えた。
「昨日、カップめん1個」
うん?金が無くて食えない?
「お金ないのよ。他の子みたいに、あたし体は使わない」
「うん、いい事だ」
「でも、お腹は減る」
「一人で・・・」
「一緒に出て来た友達2人とシェア」
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