連絡網

ヒトデ無太郎

第1話 高橋 亨(たかはし とおる)

級友が死んだ。

友達と呼ぶにはあまりにも疎遠で、他人と呼ぶには近しい。

日常のなかで一言、二言会話を交わすだけの存在。

だから、彼の事を便宜上「級友」と呼ぶことにする。


「もしもし?」

小さな動揺を察したのか、訃報を伝えた電話先の相手が応答を求めてくる。

それに応じたあと、通夜と葬式の日程を聞き、受話器を置いた。


級友は、前述した通りにそれほど懇意にしていた訳では無い人物だ。

だのに、この抉られたようなのっぺりとした居心地の悪さは何だろうか。


彼は、それほどまでに心に居座っていただろうか?

否、恐らくは「同世代の人間が死を迎える」と云う現実を突き付けられたからだと思う。


所詮は高校生だ、唯の。

日常を笑い、泣き、それこそ頭のなか等は「カラッポ」というのが適当な程の。

自分たちが死ぬ事なんて有り得ないことだと。


それが目の前に突然降ってわいたものだから、動揺したのだ。そうに決まっている。



窓の外にはどんよりとした厚い雲が流れていた。







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