君が見る僕達の未来
@shio1202
第1話 藤堂真瀬理は未来が見える
私、
と言ってもそれは特別なことでもなくて、ここ数年で私のような――マンガやゲーム風に言うならば『特殊能力』とでも言おうか、他の人と違うものを視る事ができる人間が増えているらしい。
南米に飛来した隕石が特殊なウイルスを宇宙から持ち込んだだとか、地球の環境に適応するために人類が進化しただとか、いずれ来る滅びのために選ばれた人間に与えられた力だとか、いろいろと風説はあるようだ。
私に言わせれば原因なんて興味ないし、そういうのはテレビに出てるエライヒトが勝手に考えてくれればいいと思う。私にとって重要なのは、実際私が『そういうものを視ることができる』ということだけだ。
その私の力、未来視。とても便利なものだと思われるかもしれないが、実際は大したことはない。
高校入学して暫くした頃に、どこから聞きつけたのか私の力のことがクラスメイトにバレたらしく、
「アタシがカレシとうまくいくか見て」だの「宝くじの当選番号とかわかるの?」だのと私のもとに詰め寄ってきたのである。
全くいい迷惑である。そんなものが見えるのなら自分で見ている。
そんな我欲まみれのクラスメイトに振りまく愛想もなかった私は面倒くさくなって適当に対応していたのだが、それが良くなかった。
都合のいい未来が見えないと知ったクラスメイトたちはだんだんと掌を返していき、最終的には何故か「嘘つき」のレッテルも張られていた。
別に嘘ついてないし。
そんなこともあり、私の定位置はこの教室の隅っことなったわけである。
「藤堂さん、今日日直だったよね。これ先生に届けておいてくれないかな。忘れていったみたいで」
定位置で外をぼんやり眺めるという日課をこなしていた私に不意に声がかけられる。
クラスメイトの、確か
他の人間が私に興味が無いように、私もクラスの連中のことには興味が無い。
「……ああ。はい。わかった――」
その特段語るべき特徴もないクラスメイトから教材を受け取る瞬間、私の視界は一瞬ブラックアウトした。
視界が開ける。
そこには拳銃を持った男と先ほど目の前に居たクラスメイトがいた。
視界が赤い。倒れたクラスメイト。穴の空いたセーター。床には赤く、染みが――
「……藤堂さん?大丈夫?体調悪いの?」
「……っ!……あ、え、ええ、ちょっと気分悪いみたい。保健室に行ってくるわ」
再び声をかけられて気づくと、無事な姿のクラスメイトが私の顔を覗き込んでいた。
少しずれたセルフレームの眼鏡を直し、慌てて立ち上がり教室を出る。
……これが未来視。私の力。
数分後~数時間後の映像を断片的に見ることができる。
そして、その映像が見せる未来は、私の経験上『必ず実現する』。
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