第151話 寝ながら睡眠学習【風編初級3】

 朝目覚めるとお姉様が、リーヴスラシルに何やら指導をしている。僕は、再度目を閉じて寝たふりをしていると? 両方の頬っぺたがとても暖かい感じになる。そっと目を開けるとリーヴスラシル君とお姉様が一緒にキスをしている。「何してるのですか?」「二人とも!」僕は、驚いて声を出してしまう。何か二人は、成功だねとガッツポーズを取っている事が解る。どうやら朝の最後のサプライズがやりたかったらしく、リーヴスラシル君は、最初は、姫様にそんな事出来ませんと言っていたが、お姉様の一言二言によって納得する内容を提示されたらしくいまにいたる。


 僕は、そのままお返しに、二人の唇を奪うとお姉様は、いつもと似た反応をするが一番驚いて固まっているのが、リーヴスラシル君だったりする。


 「まさか、姫様から口づけを頂けるなんて光栄です」


 その一言が、あまりにも可愛く可憐に見えてしまい思わずギュッと抱きしめてしまう。そんな様子を見ていたお姉様もリーヴスラシル君の後ろから抱きしめて、サンドイッチ状態になっている所に、扉が開くとその光景を見たお父様が、再度扉を閉めて何もなかった様にその場を離れて行った。


 リーヴスラシル君の初めての恥ずかしい声が部屋から洩れる。お母様が一番に駆けつけるとその状態を見て、離れなさい二人ともと冷静に言ってくる。状況を説明したのちにお父様は、外の物干し竿に干されている。ダイトカイトお爺ちゃんの字で、『この者は、処罰に下す』と赤血で書かれた紙が貼られている。そこに一羽ずつ鳥が飛んできては、攻撃をしかけていく―― そして、天罰をくらったように、お父様はボロボロの雑巾の様に干されるのだった。


 そんな光景を見た後は、何もなかったかのように、皆で朝ご飯を食べる。リーヴスラシル君がダイトカイトお爺ちゃんに冒険者ギルドついて話を聞いていると? 儂の紹介で紹介状を書いとくからそれを持っていくがいと笑顔で頭の髪をクシャクシャ撫でる所を見る。


 リーヴスラシル君の主人としては、僕もやってみたいの衝動にかられて、お爺ちゃんの所へ行って後ろから抱き着きながら髪の毛を弄り始める。するとお姉様もいつの間にかに参加している中何故か周りは、微笑ましい顔で三人を見つめている。ちなみに、お爺ちゃんはきりの良い所で見る側に回っていた事が不思議だった。


 不思議と言えばいつの間にかお父様も当たり前の様に、席に座ってその光景を見ながら両手を閉じてありがたや~と言う言葉が聞こえる。一瞬何故か気持ち悪かったので、魔法でたらいを頭に落として見なかった事にした。お母様には、どうやらばれていたらしく念話で、『ナイス!』と声が聞こえてくる。


 そんな賑やかな食事も終帰る支度をして玄関の外に出る。リーヴスラシルは、もう一泊泊まったら旅にでると周りに告げる。僕の中では、いつでも呼べる事は解っているのだが何故か寂しい気持ちになっていると? 姫様の悲しみが我の心に染渡りますと笑顔で言われる。その笑顔は、とても眩しくて何故か心から暖まる気持ちになった。


 そして――僕達は、お爺ちゃんとお婆様達に、お泊りの間お世話になったお礼を言って屋敷から離れる。勿論リーヴスラシル君には、何故か念話で言った。それはとても何て言うか恥ずかしかったからだ……


 そこからゆっくりと家に帰るのかと思いきやお母様が珍しい魔法を見せてくれる。その魔法は、自宅まで簡単に帰れる魔法らしく、屋敷の姿が見えなくなると? さて一瞬で帰りますかと娘達の手を握り何か唱えると辺りが白く感じて気づいたら家の玄関前に立っていた。 最後に落ちを作るお母様は、お父様を森に置いて来た事が何故かお姉様と笑ってしまう。


 その夜家に戻ってきて、久々に元の姿に戻り身体の疲れで直ぐに眠ってしまう。


 そして、目を開けると風精霊様がこっちを見ている。僕は、近づいて話しかける。


 「お久しぶりです」


 「はい、こんばんは」


 「マリアちゃんかなり成長したみたいね」


 「身体から精霊のご加護で、解るくらいレベルが上がっているわね」


 精霊様は、笑顔でそんな事を言ってくる。そして、まさかの一言が……


 「マリアちゃん、初級で合格かな?」


 「えっと、それは、どう言う意味ですか?」


 僕の頭の中でクエッションマークがいくつか浮き上がる。


 「それだけのレベルと経験値を見せてもらったから上級まで私達が教えなくても大丈夫て事が解ったから少しここで待っていてね」と言うと姿が消える。


 ほんの数分待っていると次々と属性の精霊様達が現れる。僕は何事と思いながら眺めていると?


 代表的な光属性の精霊様が僕に話しかける。


 「ステータスみたけど確かに、これ以上教える事はないわね」と笑顔で言われる。


 そして、精霊様の手に光が集まり上中下と書かれた本を僕に渡す。


 この後一人で覚えられる物ばかりだから頑張ってねと笑顔で言われる。


 不思議そうな顔をしていると、私達より知力が高いから説明しただけでものの一分もかからず出来ちゃうだなと皆で話し合った結果その本を卒業記念としてあげます。


 「そして、その本が理解出来る頃に、私達の住む精霊の森にきてね」と言われ、一人ずつの精霊様から頬にキスを貰いまたねと消えていく――


 そして、僕は、一歳の歳を迎えるのだった。

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