異世界と自分

 どうやら昔、本で読んだ小説の話にある。

 異世界と言いう場所に転生したと言う事が分かった。

 分かったからと言っても何が出来る訳でもない。

 それこそ出来ないのが事実であって、行動をすることさえも出来ない身体になってしまったのだから考えても仕方がないと改めて思う。


 それよりもこの美人で綺麗金髪の人は、僕のお母さんと言う事は解ったのだが、どうするにも言葉が上手く出ない状況なのが良く解る。

 さらに、このワイルド系の紳士で金髪がお父さんだと言う事も聞いていた流れで何となく分かった。

 そして、びっくりな事にこの可愛らしい金髪少女が僕のお姉さんだと言う事も分かり段々と状況が理解出来るようになる。


 その為か言葉を逃さないようにする為に、一生懸命耳を傾けて聞いた。

 すると可愛い少女が、僕に話しかけてくるのが何となく分かった。


「マリアンローズおはよう~」

「あれ、いつもの笑顔がないけど?」

「もしかして怖い夢でも見たの!?」


 転生して来てまだそんなに経っていないと思っていたが、何か言葉が話せるような気がしてそのまま声にだしてみた。

 その言葉が出ると凄く透き通った声が僕から出る。


「うん。怖い夢を見たの……」


 三人の顔が固まったような感じとなにか不思議な物を見る眼差しにも見える。

 そして、いきなり三人の声が重なって……。


「「「マリアンローズが、喋った!」」(三人の声がはもる)」


 お母さんは、その後不思議そうな顔をして、お父さんは、大きな口を開けた状態になり、お姉さんは、手をパチパチしながら小声で凄いと言う。


「僕の……家族?」


 何故かしらないが、僕の片耳は、パタと倒れ凄い可愛い動物のような顔で話しかけると――。

 いきなり、お父さんから言葉が出てきた。


「おぉぉぉ」

「喋ったぞ!! それも自分を、僕とか言ってるぞ」


 可愛いお姉さんは、僕を見てびっくりしながら喋り出す。


「私の妹が、僕とか言うなんて、可愛いぃぃ」


 そして、抱えている綺麗なお母さんが僕を強く抱きしめて僕に語りす。


「初めての言葉もびっくりだったけど、まさか僕なんて言うなんてね」

「可愛いわね私の娘は!」


 三人のテンションが一気にあがる。


 もしかして凄い事をやらかしてしまった様だ。

 それに、この姿の僕が何かできる訳でもないので、とりあえずここは、笑っておこうと思ってニッコリと微笑む。

 微笑んでいる自分が居る。

 だが、残してきた家族もかなり心残りでもあり、気にならなかったかと言えばウソになるくらい気になっているのだった。

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