星をこわす

 もう、飽きてきた。

 だれかさんとその仲間たちは夥しい数の銀河をつくり続けたが、ものごとには必ず倦怠期というものがある。もう十分銀河はつくった、もうこれ以上銀河は必要ないだろうということで、彼らは銀河をつくることをやめてしまった。そして、彼らは姿を消してしまった。

 そんなこんなで、銀河は新しくつくられなくなったが、銀河の中の星はまだ、新しくつくられ続けた。


 星には寿命があり、ある星は消滅するときにガスや塵を放出する。またある星は超新星爆発を起こして、その質量のほとんどをまわりにまき散らす。そして、これらの「星くず」が次に生まれる星の原料となるのである。



 銀河の中には、充分なガスや塵が蓄積されているので、それが重力によって結合されると、自然に星は誕生する。つまり、銀河が星の原料の蓄えを枯渇させるまで星はつくられ続けるのである。





 蓄えを枯渇させるまで。そう、いくら銀河に大量のガスが存在すると言っても、やがてその在庫がなくなる時が来るのである。ついに、ガスを使い果たした銀河は、とうとう新しい星をつくることをやめてしまった。これが第100兆年目である。







 新しい星がつくられなくなると、既存の星が寿命を迎え、あとは星の数が徐々に少なくなっていくだけである。星の数が少なくなると、宇宙は少しずつ輝きを失っていった。









 寿命を迎えた星の残骸は、褐色矮星、白色矮星、中性子星、ブラックホールとなった。











 さらに、これらの星の残骸にも寿命がある。つまり、陽子崩壊である。これが第100穣年目である。













 しかし、ブラックホールだけは生き残り、広大な宇宙の中に散らばっていった。















 宇宙は、空間的にも、時間的にも、希薄になってしまった。

















                             つづく ?

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