デビルドールとエンジェルドール
姫宮未調
死を呼ぶデビルドール
━そのメールを受け取ったら、一週間以内に誰かに転送しなければ死んでしまう。━
そんな恐ろしい都市伝説が出回っていた。
そのメールの送信元はなく、件名に『貴女にプレゼントが贈られました』と書かれているらしい。削除しても、延々と開くまで送られ続ける。開くと添付画像を開くよう、書かれているそうだ。『あなたの部屋の中に黒髪のフランス人形が置いてある』画像。その場所へ振り向くと、本当にあるらしい。
転送すると、忽然と添付画像と共に消えてしまう。
………もう既に数名の犠牲者が出ている。しかし、死因は様々だ。『ショック死』、『絞殺』、『転落死』。恐ろしい連続怪奇事件として噂になっていた。
~・~・~・~・
メールの着信音が鳴り響く。
「……やだ、空欄!件名……『貴女にプレゼントが贈られました』?なにこれ、怖ーい。」
開けずに削除した。しかし、また着信音がなる。同じメールだ。
「なにこれ……。」
削除する、また着信、削除、着信、削除、着信………。延々と変わらない……。
「……気持ち悪い。」
恐々、メールを開くと。
『貴女へのプレゼントは添付してあります。
添付画像を開いてください。』
仕方なしに添付画像を開く。
「……!?」
自分の部屋の写真。そこにちょこんと、『黒髪のフランス人形』が置いてある。恐る恐る振り向くと……、そこには、『黒髪のフランス人形』が置いてあった。
「……うそ。いつの間に……。」
窓もドアも閉まっている。誰かが着た気配なんてない。
「何なの……。可愛いけど何か怖い…… 。」
そのままその人形をクローゼットにしまう。明日起きたら、お母さんに聞いてみよう。もう夜中のため、起こせない。そのまま寝ることにした。
~・~・~・~・
………何かが動く気配がする。クローゼットが開いた?いやいや!無理!人形が開けられるわけがない!…………暗闇に二つの小さな光。誰かがあたしをみてる?!ないない!そんなこと!
あれ?………人形にしては大きくない?人間の女の子のような………。……そのまま、意識を失うように眠ってしまった。
~・~・~・~・
朝起きてぎょっとする。あの人形が机の上にちょこんと、座っていた。……やっぱり動いてたんだ。あたしは着替えもそこそこに、人形を掴み、階段をかけ降りる。
「お、お母さん!この人形、何かわかる?!」
「何?朝から騒々しい……。なぁにこの子?誰かからプレゼントでもされたの?珍しいわね、『黒い髪のフランス人形』なんて。」
お母さんはわからないんだ。あたしはまた階段をかけ上がる。机の上に人形を置き、友だちに電話した。
「あ!サチ!挨拶はいいよ!何か昨日、変なメール来ちゃって!『黒い髪のフランス人形』があたしの部屋にいきなり現れたの!」
『………え?それって………《デビルドール》じゃない?そのメール来たら、一週間以内に誰かに転送しないとあんた死ぬよ?!』
「……うそ?!誰に送れって言うの?!サチにも他の友だちにも送りたくないよ!」
「落ち着いて!一週間あるんだから!」
「やだ!怖いよ!」
「今検索してるから待って!………あ!あった!デビルドールを追い掛けてるエンジェルドールの噂!何かね……デビルドールが現れた街にエンジェルドールが現れるんだって!金髪のフランス人形だからそう呼ばれてるみたい。その子を見つけたら助かったって書き込みがいくつかあるよ!」
「……一週間以内にその子を見つけたら、助かる?」
「きっとそう!探そう!詳しくはわからないけど、金髪のふわふわウェーブで、ベルベットレッドの大きなリボンに同じ色のゴシックドレスの……女の子?女の子ってなってる……。なんでかな?街中で歩いて探してたりするのかな……?」
あたしははっとする。夜中のあれは……。位置が変わっていたから、きっと夢じゃない。だとしたら……。
「……本当に女の子の姿しててもおかしくないよ。探そう、その子を……。」
《デビルドール》と呼ばれた、目の前の人形を見つめながら……。
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