酔生夢死
ガジュマル
第1話
不惑も半ばを過ぎたというのに惑ってばかりの日々。
思い返せば、大半の時間を酒と酒にからんだ場所で過ごしてきた。
二日酔いは数知れず。
記憶をなくし、朝起きると路上に転がっている自分を見つけることも数知れず。
救急車に血だらけで乗った事もあった。
「俺、いいから。本当に必要な人を……」
だが救急隊員は、結局俺を病院まで運んでくれた。
怒り、憐れみ、職業的責任、そういったものを含んだ隊員の瞳が今でも忘れられない。
分かっている。
酔っぱらい特有の被害妄想だ。
ウマレテゴメンナサイ。
本当にろくでもない人生。
「お前は人間が犯し得る最も恐ろしい犯罪を犯したのだ。では改めて起訴する。人生を無駄にした罪で」
俺は映画パピヨンの主人公と同じように視線を下に落として呟く。
「有罪だ」
だがもしも最終意見陳述が許されるなら、遺しておきたい言葉がある。
数編の短いエピソードを。
ゲラゲラゲラ。
深淵の底から嘲笑の声が聞こえる
狂ったソクラテスの声だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます