読めばわかる作品は読まない

 読めばわかる名作というものがございます。

 ただ、正直なところ、読めば面白いとわかる作品は、当然読まれなければ面白いとは思いませんし、面白いと思えない作品は、わたくしは読みません。多くの人もそうであると思います。


 読む前から、面白さを提示する工夫というものが必要になるのですが、カクヨムには幸い、それを表現するための機能が備わってございます。

 御存知、キャッチコピーです。


 新着を漁っているとよくお見掛けするのが、作品の雰囲気をじんわりと伝えるようなセリフであったり、短文であったりするのですが、こういったコピーは読者への訴求力があるかと言いますと、ちょっぴり疑問なのでございます。

 センスのある文を書かれる方はおります。短い文章の中で、きらりと光るカッコ良さ、美しさ、儚さ。そういったキャッチコピーを、わたくしは否定しません。むしろ、素晴らしいとさえ思います。ですがまぁ、それでその方の作品を読みたくなるかというと、また別のお話なのでございます。詳しくは後述いたします。


 センスのあるポエム、ああいえ、バカにする意図での『ポエム』ではございません。本当に素晴らしい短文コピーを書かれる方はいらっしゃるのです。

 そういったコピーが、よほど胸に突き刺さるのであれば、それは読者に対する訴求力として機能するのでございますが、そこまで力量のある方というのは、実はあまりいらっしゃらないのです。


 読みたくなるキャッチコピーが如何なるものかと言えば、作品の概要をひとことで説明できるものでございます。

 『俺の作品はひとことで説明できねぇ!』とおっしゃる方もいるかもしれませんが、まあ落ち着いてください。その作品の魅力はなんでございましょうか。そもそも、なぜその設定と、キャラクターで、その物語を紡ごうとしたのでございましょうか。


 『まったく関係のないジャンルを掛け合わせてみた』『現在では斜陽なジャンルを盛り上げてみたかった』『むしろド王道な作品を書きたかった』『こんな能力を持ったキャラクターがいたら面白いと思った』『むしろ出オチを狙った』


 様々であると思います。これらをきちんと読者にアピールするのでございます。

 どのようなジャンルにもファンはおりますし、斜陽なジャンルを読みたいと思う者もおりますし、ド王道な作品を読みたい者も、テンプレを読みたい者もおります。

 その作品が、読者の中の需要とマッチしているのかどうか。それを表現するためのキャッチコピーでございますので、活かさないのは大変勿体なく思うのでございます。


 それでも『俺の作品はひとことで説明できねぇ!』とおっしゃる方がいるかもしれません。

 ただ、そのような作品は、例えどれだけ面白かったとしても、少なくともウェブ小説という環境ではあまり読まれないと思うのでございます。理由は次で説明いたします。

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