第2話 思うほど他人は私を見てくれない

思うほど他人は、私を見てくれない。


例えば、私が落とし物を拾って交番に届けても、誰もなにも言わない。『すごいね』も『偉いね』も、誰もなにも言わない。


例えば、私が素敵な絵を描いたり、感情を揺さぶるような物語を綴っても、誰もなにも残していかない。『上手だね』も『感動したよ』も、誰もなにも残していかない。


例えば、私がこうして道を歩いていたとして、躓いて転んでも、誰もなにも言わない。『大丈夫?』も『痛くない?』も、誰もなにも言わない。


私はつんとして、花壇の花をむしって道に投げ捨てた。


やはり誰も、なにも言わなかった。



思うほど他人は、私を見てくれない。

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