俺は女勇者の戦士です

木島別弥(旧:へげぞぞ)

第1話

 おれは女勇者の戦士だ。女勇者と一緒に旅をしている。

 艶やかな、流れるような麗しい赤い髪。それをギザギザに短く切っている。普通の庶民の洋装に緑のマント。整った顔立ちで、誰もが一目ではっと吸い込まれるような奇麗な顔。そのくせ、性格は奔放で、くったくがない。腰には、太い大剣をぶら下げている。おれのことではない。女勇者のことだ。

 弱冠、十六歳。魔王を倒すために女勇者は旅に出たのだ。

 おれはというと、うだつのあがらないただの戦士だ。幼い頃から剣術を実戦で試して修行したただの流れの戦士にすぎない。

 別に女勇者に気があるわけではない。ただの楽しい旅仲間だ。なかなか、愉快に笑う面白いやつなのだ、女勇者は。

 出会いは何だったか、忘れたが、たまたま、女勇者に一緒に魔王を倒しに行かないかと誘われたのだ。どうせ、いつ死んでもおかしくない身の上だと思っていたので、どうせなら、魔王と勝負でもしてみるかと思って、おれは女勇者について、魔王退治の旅に出たのだ。

 他に、仲間は、女魔法使いがいる。女魔法使いは、女勇者より年下で、いつも、女勇者にびくびくしているが、まあ、悪いやつではない。

 おれは、女勇者に付き従って、魔王退治の旅をしているのだ。


 人狼が三匹、襲ってきた。おれと女勇者は、剣を抜いて迎え撃つ。戦いなれたおれたちにとって、人狼など、敵ではない。軽く、一太刀、二太刀と人狼に傷を負わせて、退治した。女魔法使いはあんまり役に立たない。だが、女勇者は文句はいわない。おれたち、三人で、魔王を倒すのだ。

 おれは女勇者の戦士でいられるだけで幸せだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る