第6話
轟音が響いた。魔王が轟音をならしている。
その惑星にいる動物たちは、みな、すくみ上がった。怖い。ちょっとでも逆らったら、地獄が始まるのがわかる気がする。みな、どうすることもできず、恐れて、逃げて隠れた。
遠方の戦士は、魔王を見て、
「あれと戦うやつは、絶対に気が狂っとる」
といった。
それに答えて、遠方の賢者がいった。
「でも、誰かと戦っているのでしょう」
戦士は驚いて答えた。
「そんなやつがいるものか。そんな勇気のあるものの存在をおれは認めん」
遠方の賢者は強張った顔でいった。
「だけど、あれは誰かと戦っている状態だ。あなたの想像を超える勇敢なものが、いたのですよ、この星には」
それを聞いて、仲間の女戦士はたまらなく感じていた。何度でも、いってしまいそうだ。
魔王が現れた。
ジトの攻撃。バシ。ダメージを与えられない。
あろうことか、ジトは魔王への最初の攻撃で、落ちていた剣で切りかかったのだ。魔法は使わなかった。
「くそ、この武器じゃダメだ」
ジトはリリを抱きしめたまま、別の作戦を考えるために退いた。
「ジト、あなた、あれに勝てるつもりなの?」
ジトはじっとリリの目を見て、答えた。
「負けない。おれは負けない」
「ふうん」
「ちゃんと守ってやるからな」
ああ。それを聞いて、リリのあそこはちんちんに熱くなった。もう、我慢できない。
「ジト、どうするの」
「とりあえず、星をぶつけてみる。だけど、それだけじゃ、たぶん、勝てない。時空を超えた攻撃を仕かけなければ」
魔王が吠えるのをやめて、重力を歪めた。バキッとジトの体が変な方向へ曲がる。リリは、手を伸ばして、ジトを放さなかった。
ジトの体から血が流れている。
「大丈夫か、リリ」
ジトはリリのことを先に心配した。うーん、いい気分。リリはそう思った。
いつものように、ジトに加えられた攻撃が三倍返しで自動反撃される。魔王を重力の歪みが襲った。ごおおお、魔王が吠えている。痛がっているのか、全然、平気なのか、わからない。追加反撃の核融合爆発も、効果があるのかわからない。
「いくぞ。人類の最終兵器、太陽の体当たりだ」
ジトは、太陽を動かして魔王に当てた。ごおおおおと魔王が吠える。
その熱で、ジトの惑星は溶けて消えた。生き残っているのは、ジトとリリ、あとは、人知れぬ猛者だけだ。
魔王が太陽をはじき返した。
「余と戦う若者よ、汝の名を聞いておこう」
魔王がいった。
「ジトだ」
「遺言を聞いてやる」
「魔王には負けねえ」
「なるほど」
ジトはリリを強く引き寄せた。
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