第2話
「はぁー……さぶっ」
12月24日午後20時30分つまりはクリスマスイブ。商店街を歩いている俺の周りはカップルだらけクソ、このリア充共め。
「……爆発しろ」
ボソッと呟く。呟いたところでどうにもならないことは解っているがこのモヤモヤしている気持ちを少しでも和らげたい。
このモヤモヤの原因は解っている。昨日のめぐりのあの悲しそうな顔だ。それが、未だに頭を過ぎっているからだ。
「はぁ~」
今度はため息をつく。
グゥ~
それと同時に腹の虫が鳴く。
そういえば、朝から何も食べてなかった。
「しゃーない。あそこに行くか…」
◇◇◇◇◇
カラ~ンカラ~ン
「いらしゃーい………ってなんだお前か」
「おい、客に向かって失礼だろ」
「はいはい」
こいつは、高校の頃からの友達『木ノ下颯大(きのしたそうた)』そして、ここはこいつの店。俺の馴染みの店でもある。
味は良いし安いし量もそれなりに多いからありがたい。
「ほら、いつまで突っ立てないで座れよ」
「ああ」
颯大に促されてカウンターのいつもの席に座る。
「ご注文は?」
「なんでもいいから量が多いの」
「おいおい。メニューくらい見ろよ」
「別にいいだろ」
「ったく」
苦笑しながら厨房に下がる。
そして、ふと店内を見渡す。イヴの割には客は疎らだ。
いつも、元気なウェイトレスの姿も無い。
「ほい、お待ち」
厨房から戻ってきた颯大から料理を受け取り食べ始める。
作ってくれたのはオムライス。
しかも、中身は鳥だけでなくいろいろ入っている。おそらくは余った材料で作ったのだろう。
まあ、それでも美味いから良いんだけど。
「そういえばさ、お前。今日墓参りにいったのか?」
颯大のその言葉に俺は手を止めた。
「はぁ~……やっぱりか。今日めぐりちゃんが暗い顔してたからもしかしたらって思ったけど…」
「し、しかたないだろ仕事があったんだから」
「仕事……ねぇ。まあそれじゃあ仕方ないよな」
颯大も恐らく……いや、確実に俺が嘘をついていることに気が付いているだろうがそれ以上は何も言わずにグラスを磨き続ける。
そして、俺も食事を再開した。
君と生きる時間(とき) 雪月花 @yusukegx
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