プラグレスでゲームしようよっ!
グリップダイス
『パンデミック』というドキドキ
<パンデミック>
<感染爆発><レベル4ウィルス><生物災害>
心惹かれますか?
「〇〇地域にて、未知の感染症が確認されました。現段階ではヒトからヒトへの感染は確認されていませんが、症状は劇症でかつ複数の変異種が短期間で現れている為、当面〇〇地域への渡航を控える様、勧告します」
なんてニュースを聞くと不安と同時にワクワクしてしまいます。
勿論、自分が感染症にかかりたい訳でも無ければ、悲惨な被害者を見たい訳でもない、たぶん比較的リアリティのある未知の恐怖への憧れ。
『復活の日』『ホットゾーン』『感染列島』様々なフィクションもありますので、
実はこうしたシチュエーションが好きな方も多いのではないでしょうか。
現実ではジカ熱感染が話題になってますので南北アメリカへ渡航の方はお気を付けて。
ではこちらはどうでしょう。
「人類を破滅から救うため、特殊な能力を持った仲間たちと、ある時はチームを組み、ある時は各個独立に全世界を駆け巡り任務を遂行せよ」
王道浪漫ですね。
さてここに、上二つを同時に満たしてくれるゲームがあります。
『パンデミック』
「感染爆発」を意味するこのタイトルだけでもう期待できますね。
あっ、このゲームは非電源タイプですので、スマホも次世代ハードもPCもいりません。
後にも書きますが、対戦相手も必要なく一人だけでも充分遊べますので、
無人島に流された際でも、巨大災害であなた自身が「地球最後の男」になった場合でも楽しいゲームライフを送る事が出来ます。
ここまで読んでくれただけで我慢できなくなった人は、すぐにAmazonあたりでカートに入れちゃいましょう。
元々は海外製のゲームですが、今では日本語で第二版まで出ていますので、
日本語版がお勧めです。
それでは箱入りの『パンデミック』を開封してみましょう。
まず目に入ってくるのが赤・黒・黄・青に塗られた木製ブロック。
これがこのゲームの中で致死性のウィルスを表しています。
さらに全世界を背景に各地域の代表的な都市がラインで結ばれた地図が入っているはずです。ちなみに我らが日本では東京と大阪が選ばれていますね。
同様に各国の都市名が描かれたカードが二組。
これ等はウィルス感染が拡大する都市を決定する際と、ゲーム内でのリソース即ち資源として使われます。
最後に勇敢な感染症対策チームの面々が描かれたカード。
薄いマニュアルに書かれている指示に従って、カードを混ぜて山を作る作業を数分で済ませれば、我々の前には危機に瀕した世界が広がっているはずです。
「突如、全世界規模で発生した4つの未知なる致死性感染症。
ワクチンの開発はおろか、ウィルスの特定すら満足に進まない中、人々は斃れ続けヒトという種の存続すら危うい事態も考えられる。
そんな中、アメリカ疾病管理センターの対策チームが立ち上がる!」
「彼らは医学のみならず都市防疫・建築/施設運用・通信/輸送管制の各分野におけるエキスパートで構成されたタスクフォースである。
致死ウィルスが蔓延する前に全ての感染症のワクチンを開発せよ!
人類の未来は彼らの手に掛かっているのだ! USA! USA!」
気分が盛り上がって参りました。
ゲーム盤となる先ほどの世界地図の上、カードで感染を指示された都市には木製ブロックのウィルスを積み上げていきます。
最大3個までですが…
『パンデミック』は以下の流れでプレイしていきます。
① プレイヤー1の手番
② 感染の拡大
③ プレイヤー2の手番
④ 感染の拡大
以下同手順の繰り返し。
普通のボードゲームと異なり、『パンデミック』ではプレイヤー同士の勝敗はありません。プレイヤー全員で一致団結してゲームシステムに立ち向かうデザインです。
各プレイヤーは自分の手番で複数の行動が取れますので、
「アトランタからマイアミに向かって治療活動、その後特別便でイスタンブールに飛ぶ」なんてことが可能です。
感染の拡大はカードを引いて行い、新たな都市にウィルスを乗せていきます。
そしてこのカードの中にこのゲームの肝である『エピデミック(感染流行)カード』が混じっているのです。
この『エピデミックカード』は安全と思われた都市に最大限のウィルスを蔓延させた上に、すでに感染している都市の感染を増大させる効果があります。
先に書きました様に一つの都市に置けるウィルスは最大3個まで、
もし、それ以上のウィルスを置かなければならないとしたら…ゲームタイトル通りの『パンデミック』感染爆発が発生します。
感染爆発した都市に隣接する全ての都市にウィルスがまき散らされるのです。
もしその都市にもすでに最大限のウィルスが置かれていたら、感染爆発が連鎖して繰り返されます。おそらくゲームオーバー、人類は滅び去るでしょう。
こうした連鎖爆発を避けるため、各プレイヤーはウイルス汚染の激しい都市を重点目標として世界中を駆け巡る事になります。
ただし『パンデミック』の勝利条件とは4種類の感染症全てのワクチンを開発する事。必要以上に無駄な行動をとっていれば時間カードが終わり、ゲームオーバー。人類は破滅します。
もっともワクチン開発のため後生大事にカードを抱え込んでいれば、感染爆発を招きかねません。
この『パンデミック』のゲームシステムは非常に良く出来ており、プレイヤーは常に不完全な情報の中で決断を求められます。
今感染爆発寸前の複数の都市のうち、どの都市から優先して救うべきなのか。
今手元にあるカードをワクチン開発のため残しておくのか、今使って危機をひとまず脱するべきなのか。
一人プレイでなければ一緒にテーブルを囲む頼もしい仲間たちもいますが、
協力型ゲームの鉄則として、人の決断にあれこれ言うのは許されません。
後になって最善手が分かった所で、現在の判断の役には立ちません。
人類を救うというテーマと相まって、重大な決断を楽しみながら行う事が出来るのです。これぞゲームの醍醐味。
実際のプレイ風景はこんな感じ。
衛生兵:「東京の赤ウィルス除去完了っと。後1アクション残ったか、誰か青ウィルスの情報カードくれ。あと1枚でワクチン作れるぜ」
建築屋:「つぎの手番サンフランシスコで落ち合える?研究施設の準備も出来るしね。でも黒のウィルス放っておいていいのかな」
科学者:「駄目だ。そろそろエピデミックカードが出る頃だ。イスタンブールとカイロで連鎖爆発するぞ。衛生兵は中東に飛んでくれないか。」
衛生兵:「それは分かっているけど、カードも残り少ないんだぜ。ここが勝負時だ。<民間航空規制>で感染を抑えながらサンフランシスコに向かうぜっ」
科学者:「了解。僕の手番までエピデミック出ないでくれよ…」
みんなでわいわい、世界を滅ぼすもよし。
一人テーブルの上で世界の命運を握るもよし。
調べてみたら『パンデミック』スマートフォンアプリ版も出ていました。
しかし、3つの理由からボードゲーム版を強くお勧めします。
一つ目は単純に都市にウィルスブロックを積み上げていくのが楽しいから。
高く積み上がっていくカラフルなウィルスは意外な程気持ちをワクワクさせます。
二つ目はゲームのシステムデザインの理解という点から。
特にエピデミックカードの効果として、既に引かれた感染カードをシャッフルして戻すことによって感染爆発を再現するという美しいルール。
自分でカードを操ってみないと、この凄さがなかなか理解できないのではないかと。
三つめはアナログゲームならではの自由な遊び方が出来る事。
例えば感染対策チームのスタートはアトランタですが、東京にしてみるとか。
役職を決める際に、縛りである役職を抜いてみたり、オリジナルの役職を作ってみたりと、ありとあらゆる遊び方が楽しめます。
テーマに興味さえあれば、非電源ゲーム入門にもってこい。
『パンデミック』ぜひプレイを!
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