少女の微笑みが世界を変える

ゆかじい

第1話おだやかな日々

 私はニコ。10才の女の子。私は私のことをふつうだと思っているわ。でも友達が言うの

「ニコあなたって変わっているね」って。

「エッ、どうして」って聞いたら私が花や動物と話せるからって。私には花や動物たちの声が聞こえるのに友達には聞こえないらしいの。私達って同じ世界を観ていると思ていたけど一人一人違うみたい。だから考え方とかも違うのね、きっと。もちろん友達と一緒にいるのは楽しいわ。でも動物や花といるときの方がなぜか自然でいられるの。

 私が初めてヤギのマミーにごはんをあげたとき「高いところに上るととても気持ちがいいわよ」ってマミーが教えてくれたの。だから時々高いところに上がってみるけど本当に気持ちがすっきりするわ。

 それから花壇でお水をあげていると花たちがいろいろなことを私に話しかけてくるの。スミレは恥ずかしそうに「タンポポって野性的でステキよね」なんて教えてくれるし、バラなんて「私を飾るならあの豪華な花瓶にしてちょうだい」ってセレブっぽく命令するのよ。どの花も素敵だけど一番好きなのはチューリップかな。だって「いつもありがとう。あなたの笑顔が大好きよ」なんて言って私の心を明るくしてくれるもの。そうなの一年中色々な生き物たちがはなしかけてくれるし私の話も嫌がらずに聞いてくれる。お天気次第で大変な時もあるみたいだけどみんな毎日が楽しそう。私を元気にしてくれるわ。

 学校に行くときは隣の家のケンといっしょなの。同級の男の子ってちょっと子供っぽいけどケンはやさしいし大好き。ケンもわたしのことは好きみたいだけどまだはっきり好きって言われたことがないの。大切なことってはっきりさせるのが怖いときがあるわよね。でも今度勇気を出して私から言ってみようかな。

 恥ずかしいけど私って朝は最悪。頭がボーとしてすぐ起きることが出来ないの。お母さんに何度も起こされるわ。だから家族とあまり話をする時間がないの。でもその分夜にたくさんおしゃべりをするわ。2人とも私の話を楽しそうに聞いてくれるし色々なことも教えてくれる。だからお父さんとお母さんのことが大好き。家は貧しいけど私は幸せだと思っていたの。だけど私の知らないところで何かが動き始めていたのね。あの頃はあんなに恐ろしいことが始まるなんて思ってもみなかったわ。私の世界が大きく動き始めたの。

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