花が咲いたら

水をあげる

君が残したネリネの花


毎日毎日、水をあげる

君がくれた楽しい日々を想いながら

僕に残されたネリネの花


本当に君が好きだった

君が好きだと言ってくれて

僕は僕がほんの少し好きになれた


毎朝必ず水をあげる

君が好きだと言ったネリネの花


どうしてそんな花をと訊いた

綺麗な花は他にもあるのに

これがいいのと君は言った

苗より種を選んだくせに

咲くのを待たずに出て行くなんて


来る日も来る日も水をあげる

やっと芽吹いたネリネの花


この花のように君も元気にしているだろうか

寂しくないかい? ひとりで泣いていないかい?

愛が足りないが口癖の君を

抱きしめてくれる人はいる?


目が覚めたら水をあげる

色付いて来たネリネの花


わかってあげられなかったお詫びの気持ちさ

愛していたのに包み切れなかった

精一杯の優しい言葉も孤独な君には足りなくて

その涙が枯れるのを僕は今でも願っているよ


水をあげる何度でも何百回でも

これは懺悔の君が愛したネリネの花


綺麗に咲いたその日には

抱き疲れたこの愛を弔う僕を許して欲しい

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