きみがすき

目が覚めて君がいる

そんな幸せを僕は知らない


食卓の向かいに君がいる


「いってきます」

振り返る先に君がいる


揺れる電車の中で携帯電話を取り出して

『好きだよ』

すぐに見てくれる君が好き


『愛してる』

『早く帰るよ』

『もう、君に会いたい』

すぐにつく“既読”の表示

待ち構えている君が好き



足早に駆ける帰路

君の待つ部屋へと急ぐ

こんなにも心が騒ぐ

そんな充実を僕は知らない



「ただいま」

ドアを開けた先に君がいる


「寂しくさせてごめんね」

食卓に残ったままの朝食と昼食

「また、口に合わなかったかな」

君の枕元で携帯電話が光り続ける


三日ぶりに充電プラグを抜いて

僕はそれを拾い上げる

『わたしもだいすき』

今日48回目でやっと君から返事が来た



君が好き

君が好き

君が好き

君が好き

君が好き

君が好き

君が好き

君が、大好き



「おやすみ」

今日も僕は冷たくなった君を抱く

こんな優越を僕は知らない


朽ちかけた愛しい君よ

明日もまた君の隣りで目覚めたい

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