揺れる心

第1話

「へるぷと言われても…接吻をしてしまったのなら、付き合うしかないのではないかにゃ?」


「へ…?」


マ、マジっすか?

キスしたら付き合うなんて、一体、いつの時代なんですかって思ったけど…

なんて、素敵なルールなのさ!?




「そ、そうですよね。

私達、キスしてしまったんですし、真剣にお付き合いするしかないですよね?」


龍之介さんは困ったような顔をしていたけれど、やがて、ゆっくりと頷いた。




やった…!

緑川姫香に勝った!

龍之介さんは私のものだ!

緑川姫香は、私を刺すような視線で睨み付けていた。




「龍之介さん…改めまして…どうぞよろしくお願いします。」


私が片手を差し出し、龍之介さんがその手に触れようとしたまさにその時…

急にしぼんだ…私のボインさんが…




「あらっ!東雲様、そのお胸……」


姫香は私の胸を指差し、大きな声を上げた。

そのせいで、文さんや龍之介さんも私の胸をじっとみつめて…




「こ、こ、こ、これは……」


何と言ったらいいのかわからなかった。

なんで、よりにもよってこんな時にしぼむんだ!

とにかく、何か言わなきゃ…なんとか誤魔化さなきゃ…

そう思えば思うほど、焦るばかりで良い案は何も出ず…




「おーっほっほっほっ…!」


緑川姫香が、甲高い笑い声を上げた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る