第2話

「な、な、なによ。

笑うことないでしょ!」


とりあえず、キレてみた。

だけど、緑川姫香はそれに少しも臆することはなく、笑い続けた。




「東雲様のお胸はまがいものだったようですわね。

それとも、東雲様ご自身がまがい物なのかしら?

もしや…あなたも、あやかしなのですか?」


「そ、そんなわけないでしょ!

私はれっきとした人間の女性よ!」


「本当にそうかしら?

だったら、なぜそんなことが…?」


緑川姫香は私の平原を見て、肩を震わせた。




「だ、だから…これは……」


「文さん…龍之介さん…こんな方のおっしゃること、とても信じられませんわ。

おそらく…龍之介さんに接吻されたっていうのも嘘じゃないかしら?

だって…誰もその現場をご覧になった方はいらっしゃらないのでしょう?」


「……東雲…どうなんにゃ?」


「う、嘘なんかじゃないわ!

私は、た、確かに…」


文さんや龍之介さんの目が冷たい…

私のことを疑ってるようだ。

確かに、キスをしたのは嘘じゃないけど、それがほっぺにだってことは隠してる。

どうしよう?

真実を話すべきか…それとも…??




「嘘だってお認めになられたらいかがです?」


「う、嘘じゃないもん!」


「じゃ、その胸はどういうことにゃんだ?」


「そ…それは……」


なによ、そんなに胸のことばかり言わなくても良いじゃない!

私はいたたまれなくなって、その場から逃げ出した。

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