第2話

でも、よ~く考えてみると、確かに今は笑える状況なのかもしれない。

だって、そんなことする女なんて、誰だってひくよね?

つまり、緑川姫香は龍之介さんに嫌われて、そこで私にチャンスが出てくる…と。




(やった…!!)




私は心の中で、熱いガッツポーズをキメた。

ね?龍之介さん…催眠剤で眠らせて襲おうとするような女…いやですよね?

私の視線に応えるように、龍之介さんは天使のような顔で微笑んだ。




「間違えてくれて良かったぁ…」


龍之介さんは、微笑みながらそんなことを言う…




は?

どゆこと?




「緑川さんが間違えずにマカロンを渡してたら…

僕は、催眠剤で眠らされて…

全部のマカロンを食べることが出来なかったんだもの…」




え…?そ、そっち??




そりゃあ、まぁ確かに一つ食べただけでこてっと眠らされたよ。

けっこう強力な催眠剤だよね…

うん、龍之介さんの言う通りだよ。

一つ食べたら、きっと全部食べることは出来なかったと思うよ…




でも……なんで、そっちなんだよっ!

違うだろうが!

気にすべき点はそこじゃない!!




……と、言いたい気持ちはやまやまだけど、龍之介さんの無邪気な笑顔を見ていたら、とてもそんなことは言えなくて…




「そ、そうですよね。

緑川さんが間違えてくれて本当に良かったですね。へへへ…」


何言ってるんだ?私…

自分の言動には甚だ疑問を感じたけれど…

龍之介さんの笑顔には、そんな疑問を払拭するだけのパワーがあった。

っていうか、龍之介さん…どんだけマカロン好きなんですか!



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る