新たなる闘志

第1話

「ど、ど、どゆことなんですか、間違えたって…

し、しかも、催眠剤って一体…」


私がそう言うと、緑川姫香はボインを揺らしながら、すすり泣き始めた。

文さんの視線が、ボインにくぎ付けだ。




「も、申し訳ありません…

実は私…龍之介様にほの字でして…」


そんなことは知っている。

っていうか、「ほの字」って一体いつの表現だよ。

あんたのルックスにも合ってませんから!




「そ、それが催眠剤入りマカロンと、どういう関係があるんですか?」


私は、率直な疑問をぶつけた。




「それは…龍之介様はなかなか私の気持ちを汲み取って下さらない。

何度告白しても、はぐらかされてばかりいて…

それで……お恥ずかしいことなのですが……その……」


緑川姫香は、頬を赤く染め、龍之介さんをちらちらとのぞき見る。




「にゃるほど。

龍之介を眠らせて、その隙に襲おうとしたわけだにゃ?」


緑川姫香は、文さんの言葉に小さく頷いた。




な、なんですと!?

眠らせて、襲う…?

あんた、どんだけ肉食系なんだよっ!!




「そ、そうだったんですか…あは…はははは…はは。」


空虚な笑いが私ののどからこぼれ出た。

おかしくもないけど、まだ催眠剤の効果も残ってぼんやりしてるし、どう反応したら良いのかわからず、半分誤作動で笑ってしまった。


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