恋愛ゲーム(リアル)

何かしらの大福 

第1話 プロローグ

『いいよなー雅人は。周りが女子ばっかでまさにハーレムじゃん』


 高校の時の友人とかに会うと、だいたいそう言われてきた。

 確かに、僕は今看護大学に通っており、男女比1:9の空間の中で毎日を過ごしている。女性との関りも高校までよりも明らかに多くなった。ただ、ハーレムかと言われると、正直よくわからない。未だ彼女はいないしモテた記憶すらいないからだ。

 ハーレムの定義なんてよくわからないが、漫画やゲームの感覚で言うと、その『モテているかどうか』がハーレムに関わってくる気がする。多数の女性から好意を向けられてこそハーレムなのではないか。

 

 とすると、僕—福見雅人ふくみまさとは別にハーレムではないと思う。もちろん、実は僕は今モテモテで鈍感だから気づいてないだけ、という可能性もあるかもしれない。恋愛に疎いのは事実だからだ。けどさすがに、例えば漫画やゲームの主人公のように、ヒロインがいい雰囲気で顔を赤らめていた時に、熱あるんじゃないか?とか本気で言うほどではないとは思っている。たぶん。まだそんなことになったことないからわからないけど。


 とにかく、大学生になって3年目の今までにハーレムだった記憶はないわけだ。そりゃあモテてみたいとか、恋愛したいとか、そういう感情はあるっちゃある。でもよくわからないのだ。相手の気持ちもわからないのに、好きです!とグイグイ行き過ぎて嫌われてしまったりする方が嫌だ。そんな感じで消極的に過ごしてきたからこそ、今まで彼女なんてできたためしがないのかもしれない。


 そして、4月現在。3年生になった初日、オリエンテーションだけの講義を終え、今日もハーレムではない日を終え一人暮らしの自宅に帰ってきた時。


 僕のハーレムになるかもしれない生活が始まったのであった。


「やっと帰ってきたか、青年」


 僕の部屋には、30㎝くらいの雲が浮いており、その上に同じくらいの大きさのおじいちゃんが片手をついて寝転んでいた。…なんなんだ、これ?

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