勇ましくて強いそんなあなたを僕は喰べたい
@tuna900
プロローグ
朝を迎える。騒がしい朝、親が騒いでる、それはきっと今日僕が生まれ変わることになるからだ。この魔法都市ハイルスツでは15歳の時に魔法を魔法図書館にて自分の内に存在して言われている、色と同色、同属性の魔法を得ることが出来る。正確には押し付けられる。ここは、元は魔法軍と戦うために作られた前線都市なのだから、戦力を作られるようになっている。云わば、有能な魔法と一致した者が出れば、そいつは連れていかれるのだ。魔法兵器物として。そんな知りたくもないことを兄のリトラはその身を使い教えてくれた。そのこともあってふたりは騒いでいるのだと思っている。きっとそんなことは起こるはずがないのに。
テイラー「イベル!そろそろ時間でしょ、行きなさい」
イベル「分かったよ、母さん」
今日、ありふれたら能力を手にすることができれば、そのまま魔法科高校へ入学ができる、そうなればこの街で一生を過ごすことが出来る、ほかの都市にだって行ける。戦いに行く事は避けられる。そんなことを想いながら、家の玄関まで行く。
イベル「行ってきます、母さん」
テイラー「いってらっ…しゃい…きっと、きっと大丈夫だから」
イベル「そうだよ、僕なら大丈夫、兄さんと違って僕は成績不良なうえ、精神面に問題あり、なんて言われたんだよ?」
母を慰めながら、自分のダメなところを挙げて、自分なりに母を安心させようとしていると、奥から父がやってきた
カラカラ…カラカラ…
虚しい骨の車輪を廻しながら歩いてきた。
イベル「行ってきます、父さん。兄さん」
クトル「あぁ、行ってらっしゃい、帰ってきたら昼飯でも食べにいこう」
リトラ「…」
僕は最後に冷たく、血も流れているのか怪しい兄だった物の手をギュッと掴んで、これが最後かもしれないと思い別れを告げ家を出た。
僕の兄であるリトラは戦場に連れていかれ3年で精神をすり減らし、廃人として戻ってきた。
兄は3年前に魔法図書館にて『 エンチャンター』として生まれ変わった。付与術師とは字の通り、人に対して付加能力を与える魔法使いのことだ。魔法を使えない人間を強化し、魔物と戦えるようにしてしまうのが、この魔法の怖いところだ。兄を僕達の住む家まで届けてくれたのは兄と同じところで働いていたエンチャンターの2人だった彼らの話によると、兄はとても優秀で仲間思いだったらしく、他の人の1.5倍の人数を引き受け、さらには弱っているエンチャンターがいれば
リトラ「俺は自慢じゃないが魔力の回復が早いんだ」
そういいながら自分の魔力を分け与えたそうだ、窶れていたのにも関わらず。馬鹿な兄だ、常々思う、だが尊敬すべき兄だとも同時に思う。
そんな考え事をしてるといつの間にか僕の足は転送装置の前に着いていた。
イベル「…さてと、次は僕の番かな」
一言震え声を落としながら、転送装置の中に入る。
何度これを使ってもなれないものだ。全てを解されて、全てを見透かされた上で、全てを温かく包み込まれるような、なんとも言えない不思議な感覚が残る。
目を開けると魔法図書館の前に着いたが、既に『 魔法贈与』時間は始まっていたらしく、行列が出来ていた。希望を持ち、目を輝かしている者。不安に満ちおどおどしている者。様々な人物がいる。
???「おーっす!イベル!」
うしろから、元気よく脳天気なやつが話しかけてきた。
振り向くと、その脳天気なやつの後ろにもう一人隠れていた。
???「おはよう、イベル」
イベル「あぁ、二人共おはよう。ラーセ、サイラ」
ラーセ、成績優秀だがどこか抜けているところがあり、以前魔法のことで少し間違った部分があり、指摘するとそれ以来付きまとうようになっていた。最初こそうっとおしくて堪らなかったが、今ではいいともであり、同じ魔法を勉強する仲間だ。そして、その幼なじみのサイラ。サイラもラーセと変わらないぐらい頭が良く、よく周りに気も配れる、それに学校の大半が美しいという顔つきをしている、そんな彼女にこそ、才色兼備という言葉が似合うだろう。
サイラ「それにしてもなかなか進まないね」
ラーセ「中に入れるのは1人ずつだから仕方が無いよ、ただどうして1人ずつしか入れないのかは、教えてもらえてないけどね」
イベル「たぶんそれは、私怨が生まれるからじゃないかな」
ラーセ「ほかの人の得た魔法が自分の魔法より優れたものだったって時のためか」
イベル「うん、たぶんね」
サイラ「まぁでも幸い早めに到着したし、行列もそこまでだから3人で話でもしながら待っていればあっという間だよ」
ラーセ「そうだな!」
僕達はいつもの学校で話すようにたわいもない話をネタに談笑していた。少しずつ運命が変わるのが待っているとも知らず、悠々と。
勇ましくて強いそんなあなたを僕は喰べたい @tuna900
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