FGO『いざ鎌倉にさよならを』感想(ネタバレ)

 まるでそれは『運命』のように。

『彼女』が一歩踏み出したときからそれは決まっていたのです。


 多くの『仲間』を得ても曲がらず。 

 様々な人々の『想い』を受けても歪むことなく。

 

 ただ一直線に地獄の底まで走り抜けました。


『悲劇』と誰かが嘆くでしょう。

『愚者』と誰かが笑うでしょう。


 だからこそ『悪霊』は囁きました。

 

『彼ら』に殺された『我ら』のように。

『源氏』の呪いを受けた彼女も同じ『犠牲者』だと。


『悲しみ』を『怒り』に。 

『後悔』を『憎しみ』に。


 やられたことをやり返す。

 その『権利』が我らにあるのだと。


 差し出された甘美な誘惑。

 与えられた嘆きを癒す最後の手段。


 でも、彼女はその手を掴むことはありません。


 なぜならば、彼女は『間違っていない』から。

 自分が信じたことを貫き通して、『終わった』だけだから。   

 

 結局のところ。

 最後の最後まで彼女を変えることは誰にもできませんでした。


 それが彼女の望みだったからです。

 それが彼女の願いだったからです。


 報われることなく死んでいった頑固者。

 人を理解することなく殺された一人の天才。


 その人生は運命に導かれた必然でした。

 彼女自身がその道を『自分の意思』で歩み続けたのです。


 それでも彼女は一人ではありませんでした。

 多くの人々が彼女を助け、救おうと願ったのです。


 これは悲劇の物語。

 救われなかった一人の少女のお話。


 それでも彼女の歩んだ日々は――――。



―――


 さて。


『牛若丸』の最大の悲劇は彼女をきちんと導ける誰かがいなかったことでしょう。

『目的』だけ入力してそれを叶える方法を誰も教えることができませんでした。


 彼女が敵の首に拘るのもそれが『目的を叶えるための手段』だからです。それ以外の方法を上手く理解できないのが『牛若丸』という存在なわけです。


 まあ、ぶっちゃけ『教育の失敗』ですね。同じような『怪物』として生まれた『長尾景虎』の場合は『仏門』の教えを元に人と接していたため、こちらは教育に成功した例でしょう。


 彼女たちは根本的には人という『弱者』が理解できない。

 強者として生まれたがゆえに人から『逸脱』してしまったわけです。

 

『鬼一法眼』はその危険性に気付いていたため、一度『目的』を解除しようと試みますが、彼女の失敗は『遊び』を『修行』としてインプットしてしまったことです。


 そのため『牛若丸』にとって『遊び』とは目的を達成するための『手段』になってしまい、遊ぶということ自体が目的を達成するための『過程』となってしまったわけです。


『牛若丸』が『目的』を忘れなかったのもそのためです。

『遊んでいれば目的も忘れるだろう』と甘く見た『鬼一法眼』の大チョンボです。


 おそらく他にも彼女の『方向性』を修正しようとした人物はいると思いますが、その全ては失敗し、最終的には殺すしか止める方法が無かったと推測できます。


 そんな彼女を哀れに想って手を差し伸べたのが『平景清』ですね。彼にとっては『牛若丸』もまた『源氏』に殺された犠牲者だったのでしょう。


 でも、『牛若丸』はそれすら理解できないので『復讐』なんて選びません。

 そもそも『目的』を疑う気持ちすらないのでそれでおしまいなのです。


 それが『幸福だったのか不幸だったのか』というのはまた別問題ですね。理解できないことを理解できないまま死ぬことは本人にとって不幸とは言いきれないのです。


 彼女が『何を間違えたのか』というのに気付くかは今後の展開次第でしょう。

 少なくとも仲良くしたかったというのは彼女の本心ですし。


 さて、今回は『平景清』なのでガチャを回そうか悩みましたが、『義経』の意識が強いバージョンが無かったので一旦スルーしました。


 そのバージョンがあれば回しまくったのに。今後『セイバー』バージョンが出る可能性があるので取りあえずは様子見ですね。何か温存した感じもしますし。


 でわでわ、この辺で。

 バレンタインの方の感想も書かないといけませんし。


 でも、『なろう』のWEB小説を一から読み直してるので忙しいんだよねー。『灰色の勇者は人外道を歩み続ける』の更新がまだ続いていてびっくらぽん。他にもいろいろと読んでますよん。


 まあ、その辺りの話もそのうち。

 ばいちゃばいちゃ。


<完>   

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