漫画感想文『Thisコミュニケーション 1』(ネタバレ)

 怪物が人類を滅亡寸前まで追い込んだ世界で、人体改造を受けた少女たちを軍隊として鍛え上げる主人公の物語です。だいたい合ってます(笑)


 でも、この漫画の主人公は人材育成が得意じゃないのでめっちゃ失敗します。少女たちを言葉で励ますとか、心を開いて信頼関係を築くということができません。


 まったく持って致命的です。

 ギャルゲーの主人公にはなれません(笑)


 なので主人公は失敗するたびに少女たちを殺します。

 でも、少女たちは不死身の怪物なので、殺されても生き返ります。


 ただし、一時間前の状態で再生するのでその間の記憶は失われてしまいます。

 その一時間の記憶を奪うために、主人公は少女たちを殺していくのです。


 主人公がその一時間を利用して、少女たちを欺きながら育成していくというのがこの漫画のストーリーです。


 簡単に言えば『育成ゲーム』をしている主人公が『ロード機能』を利用しながら、その度に『選択肢』を選びなおして、より良い状況を作っていく物語と言えるでしょう。


 逆に言えばこの『ロード機能』を利用しなければ状況はどんどん悪くなり、主人公が選択肢を間違えまくるので呆気なく『バットエンド』を迎えてしまいます。


 主人公は無能な味方を殺すことを躊躇わない『合理的なサイコパス』ですが、この極限的な状況では彼の行動が状況を改善していくわけです。


 少しでも状況が良くなるならば、主人公は少女たちを殺すことを躊躇いません。

 殺した方が結果が良くなるからです。それだけの話なのです。


 こう書くと重めの作品に感じられるかもしれませんが、どちらかというとコミカルな作品ですね。主人公は合理主義者の割には失敗が多いですし、少女たちの関係性も壊滅的なので問題しかありません。

 

 彼らが起こすトラブルをどうやって解決していくのかというのが主体であり、ほとんどギスギスした雰囲気にはなりません。なったら、主人公が少女たちを殺して改善するので問題は解決します(汗)


 ただ一時間という制限時間があるので、話が続けばその一時間で解決できない問題も増えていくのかなーと予想してます。


 主人公もサイコパスですが、自分がやっていることが他人に受け入れられないということは理解してるんですよね。


 ただ彼にとってはやった方が結果が出るのでやるだけという非情な話。

 二人とも怪物に殺されるならば一人を囮にして、一人は助かる道を選ぶ。


 もちろんその一人は自分になるわけですが。

 

 今のところ主人公の行動は『自分のためなのか』それとも『全体のためのなのか』というのが不明ですね。果たして彼は自分が邪魔になったとき、自分を殺すことができるのでしょうかね。合理的というのはそういうことです。


 というわけで主人公が手段を選ばずに少女たちを育成する物語が好きならお薦めです。まあ、主人公がめっちゃ裏切るので人を選ぶ作品でしょう。


 記憶を失うと言っても殺されることには変わりませんし(汗)

 ただなるべく残酷なシーンはカットしてあるので、ホラー的ではありません、


 さてさて、最後は主人公が復讐されて終わるのか。

 あるいは、全てが騙されたままハッピーエンドになるのか。


 それとも、積み重なったものが真になるのか。


 まだ一巻なので今後の展開次第ですね。

 まあ、『ジャンプSQ』で連載中なのでこの先の展開も読んで知ってますけど。

 

 あ、ジャンプ繋がりで『アクタージュ』が打ち切りになった話を入れるの忘れた。

 現状では打ち切りにするしかないでしょうね。


 契約的にもどうなってるか分かりませんし。面白そうな展開だっただけに残念ではありますが、その辺りはきちんと区別をつけなくてはなりません。


 復活する可能性もゼロではないと思いますが、おそらくはこのまま眠らせるというのが編集サイドの意思ではないのかなーと思います。企業としてはあまりリスクを負いたくはないでしょうし。


 その辺りは『合理的』に考えるでしょう。

 よし、話が繋がったので終わり。


<合理主義者はたいてい自分を省くのです>

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